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【明日発売! 天野正道ソロ楽譜2/2】
今日の紹介文はちょっと長くなりすぎて(笑)、改めて2曲目の方ご紹介させて頂きますね!
なんとこれが、高校生の頃の天野少年が「初めて委嘱を受けて書いた作品」とのことで…
「天野先生は若い頃、まだティーンの頃など、どんなふうに過ごしていたのだろうか」そんなことを知るよすがとなる作品ですね。
解説中に、『それと知らず「移調の限られた旋法第2番」(またの名をコンビネーションディミニッシュ)の音階を使っていた』とあります。
音階の名前は知らなくても響きは知っていたんだなと、そんなところにもフツウではないことの一端が現れていますが(汗)、この音階について少し考えてみたいと思います。「移調の限られた旋法」の体系を整理し、名前をつけたのは、20世紀フランスの作曲家であるオリヴィエ・メシアンです。その体系のなかで、「移調の限られた旋法」は7つの種類があり、2番めの旋法は「コンビネーションディミニッシュスケール」または「ドミナントディミニッシュスケール」とも呼ばれて、ジャズシーンなどで多用されています。
「移調の限られた旋法第2番」の特徴は何か?
こういうことは、沢山の人から多様な見方を集めてみるのがおもしろいと思うんですが…いくつか挙げますと、
・主音から上方へ、半音と全音のインターバルを繰り返し、1オクターブに8つの音を含む
・キーの種類は3種類
まずこんなことが言えます。「キーの種類が3種類」とはどういうことかと言いますと、例えば長調なら12種類(異名同音調を除く)あるけれど、全音音階は2種類しかない。という意味合いで、この第2番の旋法は3種類が存在しているということなんですね。
「キーの種類が12種類ない」ということが、つまり「移調が限られている」ということのようです。こう聞いたら、ちょっと、五線に書いてみたいじゃないですか?この音階を(笑)
でも、実際書いてみたら、微妙にやさしくないんですよ。なんとか、書くも分かりやすく、見ても分かりやすい譜例を考えたい…としばし悩んだのち、また別の特徴に気付きました。・この音階の構成音は、隣り合う二つの減七の和音(ディミニッシュコード)の構成音と同じである。
つまり例えばこう、
この二つの和音の構成音は重複していませんね。
これを音階状に並べると、こうなります。
音階3種のうち、1種類が書けました!
この例はかなり分かりやすくなったと思うのですが、いかがでしょうか。音階の話ばかりして作品の話が出来ていないようですが、作品で使われている音階を知ることは、その作品のベースとなる雰囲気や色味を知ることにもつながると思うので、かる~い気持ちで読んでみて頂ければと思いながら書いてみました^^
実際に音を聞いて知るという方法もありますね。ジャズ系なら、この音階を使った格好いいフレーズの音源が多数見つかりますので、興味のある方は検索してみて頂くのも良いと思います。この作品も楽譜の詳細ページにMIDIのデモ音源をご用意しておりますが、途中かなり速い部分があります。でも実は、音源の音が潰れてしまうのを回避するため、楽譜の指示よりも少~しだけさらに遅くしてあるんです(‘Д’)!!
CAFUAのCDではないのでアレですが、フルーティスト・福島明佳さんの「Fluctus フラクトゥス~天野正道作品集~」(キングレコード NKCD-6864)に、この「フリュートとピアノのための小品第1番」だけでなく、「交響組曲第3番“GR”より4楽章 フルート&ピアノ版」、さらにフルートトリオの「アリエッタ」も収録されていますので、もし宜しければこちらで聞いてみて頂くのもよろしいかと思います。
というわけで、明日10月15日発売となる天野正道作曲のフルートソロ楽譜を、2つの投稿に分けてご紹介させて頂きました!
いつも文章が長くなってしまいましたが、最後まで読んで下さり誠にありがとうございます。
今回ご紹介した作品でこの秋も充実させて頂き、また今後続いていくソロ楽譜のラインナップにもご期待頂ければと思います!