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没後3年・マスランカの命日に捧げる2タイトル
作曲家のデイヴィッド・マスランカが2017年8月6日に逝去されてから3年となりました。孤高の作曲家の偉業を後世に伝えるべく、氏とゆかりの深いアーティストのアルバムを2タイトル同日リリースいたしました。
■CACG-0302「雲井雅人サックス四重奏団ベスト」
1996年結成後、日本のサックス界において独自の存在感を示し確固たる信念を貫き続ける「雲井雅人サックス四重奏団」。雲井雅人と彼の教え子達による共通した音楽言語から導かれる深い響き、美しいハーモニー、音楽の奥底からすくい上げられるメッセージ性など彼等の表現する音楽は、特にマスランカのような底知れぬ世界観と精神性を有する作品で真価を発揮します。惜しくも2017年に鬼籍に入ったマスランカの2作品を含むこのベスト盤は、そんな「雲カル」の魅力を凝縮。一方、イトゥラルデ「ギリシャ組曲」のようなキャッチーでノリの良い作品でも彼等のアンサンブルは輝きを損ないません。常に音楽と真摯に向き合い、最上の表現を追求し続ける「雲カル」のエッセンスが詰まった、珠玉のベスト盤です。★ブックレットには、日本のマスランカ研究の最先端を行く日下瑶子さんによる解説文を収録。雲カルとマスランカがどう出会い、どう音楽を深め合っていったのか、メンバーのインタビューを交えて紹介しています。
■D.マスランカ「子供の夢の庭」
先鋭的なパフォーマンスで当時注目を浴びていた中山鉄也指揮厚木西高校。個性的な選曲と演奏を披露した1999年ライブと、2017年この世を去ったマスランカの究極の吹奏楽作品を後世に残すべく、リマスタリング盤で再リリースです。
「子供の夢の庭」はある少女が見た不思議な夢をモチーフに書かれた難解な作品で、作曲者マスランカ自身の空想感覚をスケール豊かに結実させた現代吹奏楽曲の傑作です。それだけにこの曲を完成させた彼等の想像力には驚かされます。決して高校生の域を出る演奏ではないが、音楽の密度と作品への深い解釈においてはマスランカ本人からも喜ばれた素晴らしい演奏です。
この演奏会では他にも、広大な湖に太陽が輝きながら沈んでいく光景を美しく描いた「ソル・ソラーター」や、8種類の動物達を擬音や奏法でユーモアたっぷりに描写した「聖フランシスの讃歌」、ギリングハムの「コンチェルティーノ」の日本初演など聴きどころ満載です。★当アルバムで指揮をされている中山鉄也先生は、「バンドジャーナル」誌などを通じて、まだ日本ではほとんど知られていなかったマスランカ、ギリングハム、ウィテカー、マーら当時最先端の吹奏楽曲を紹介された方です。今回のアルバムに、マスランカとの思い出を語って頂いた寄稿を寄せて頂きました。(なお、ブックレットはオリジナルリリース盤[CACG-0005]のものを使用しております。)