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コンクール全国大会を“予習”しよう!-北海道・西関東支部編
こんにちは!
全日本吹奏楽コンクール・全国大会まであと約1週間と、ついに目前まで迫ってきましたね!
9月初めからお届けしてきたこの全国大会予習シリーズも、今回の北海道・西関東支部編をもって最終回となります。どうぞ最後までお付き合いくださいませ。本日はじめにご紹介する作品は、こちらのCDから!
グラールウインドオーケストラ
『天野正道 交響曲第1番「グラール」』
指揮:佐川聖二このCDに交響曲の第3楽章として収録されている「アダージョ・スウォヴィアンスキェ」を、北海道の札幌市立啓明中学校吹奏楽部が全国の舞台で演奏します!
天野正道作曲の交響曲第1番「グラール」は、もともとそれぞれ単独の楽曲として作曲されていた第1~第3の楽章に、終曲となる第4楽章を加えて全4楽章の交響曲となった作品です。ソナタ形式で書かれた第1楽章「幻影-ファントム ドゥ ラムール」、そのタイトルが「どうしてスペイン風なの?」と問いかけてくる第2楽章「エスティロ デ エスパーニャ ポル ケ?」、「スラブ風アダージョ」というタイトルを持つ第3楽章「アダージョ スウォヴィアンスキエ」、そして第4楽章の「ロンド-コーダ」という構成になっています。
「アダージョ・スウォヴィアンスキェ」は、マーラーやベートーヴェンが好んで用いたという、極めて遅いテンポ指定がなされています。その速さ、四分音符にして28/分!
1分に28拍打つスピード、つまり…2秒に1拍よりさらに遅いわけです。
このようなわけで、楽譜通り演奏すれば9分にも及ぶ時間を所要するにも関わらず、なんと楽譜上ではたったの(?)60小節しかない、という最近では大変珍しいタイプの楽曲なのです。
以前、このシリーズの関西支部編で「アダージョ・スウォヴィアンスキェ ドゥルゥギェ」をご紹介しましたが、こちらは「アダージョ・スウォヴィアンスキェ」にテンポの速い中間部を加えたものです。オリジナルである「アダージョ・スウォヴィアンスキェ」は終始ゆったりとしたテンポで、香るような響き、バレエなどの情景に描かれる古き良き、美しい時代を思わせる響き、ロマンティックで、温かく心地よい流れがステージから溢れだすような響きが印象的な楽曲です。随所に各楽器によるソロが配されているのも聴きどころ。その驚異的な遅さとも合わせて聴いて頂くと、作品をより深く楽しむことが出来ると思います。
楽譜を見ながら予習したい!という方は、POST de スコア(クリックするとジャンプします)のサービスもぜひご活用ください。※なお、「アダージョ・スウォヴィアンスキェ」を「交響曲第1番 グラール」の一楽章とするにあたり、部分的に改訂が行われたため、楽譜とCDでは一部異なる箇所があることをご了承ください。
それでは2曲目に参りましょう!
文教大学吹奏楽部
「M.アーノルド 第六の幸福をもたらす宿」
指揮:佐川聖二、黒木裕太、安部迅こちらのCDに収録されている、中橋愛生「彩雲の螺旋-吹奏楽のための」を、埼玉県の川口市立青木中学校が全国大会の舞台で演奏します。
“彩雲”は仏教世界での吉兆、吉事の前触れである五色の雲のことですが、時とともに色を変え形を変えていく雲にスクールバンドの姿を重ねているあたりにも、中橋氏の楽曲ネーミングセンスが光っています。
清々しさを感じるファンファーレに始まり、曲中では、委嘱団体(明浄学院高等学校吹奏楽部)とその指揮者の名前を音列に置き換えることでうまれた4つのモチーフが用いられています。
こちらも中間に各楽器によるソロの聞かせどころがあり、特に普段表立って聞こえる機会の少ない、低音楽器(バス―ン、テナーサックス、バスクラなど…)にもソロがあるので、ここは奏者の気合もひとしおというところではないでしょうか。打楽器群入魂のパフォーマンスも、見逃せません!以下、既出の楽曲ではございますが、演奏団体と予習におすすめのCDをご紹介させて頂きます。
<北海道支部代表>
北斗市立上磯中学校吹奏楽部が演奏するC.T.スミス「華麗なる舞曲」はこちらのCDほかでチェック!
土気シビックウインドオーケストラ(vol.8)
「C.T.スミス 華麗なる舞曲」
指揮:加養浩幸東海大学付属札幌高校吹奏楽部が演奏する、高昌帥「ウインドオーケストラのためのマインドスケープ」はこちらのCDなど↓
東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部 vol.12
「スパイラル・プラウド」
指揮:畠田貴生北海道教育大学函館校吹奏楽部が演奏する、真島俊夫「富士山~北斎の版画に触発されて」は、
こちらの昭和音楽大学ウィンドシンフォニーや
「真島俊夫 富士山~北斎の版画に触発されて~」
指揮:ユージーン・M・コーポロン、福本信太郎神奈川大学吹奏楽部によるこちらのCDなど
『楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り』
指揮:小澤俊朗<西関東支部代表>
埼玉県の伊奈学園総合高校吹奏楽部が演奏するM.ファリャのバレエ音楽「三角帽子」はこちらのCDほかでチェック☑
神奈川大学吹奏楽部
『M.ファリャ バレエ音楽「三角帽子」』
指揮:小澤俊朗さらに、埼玉県の伊奈学園OB吹奏楽団が演奏する、福島弘和「ラッキー・ドラゴン~第五福竜丸の記憶」はこちらのCDほかでチェックしてみて下さいね!
東海大学付属第四高等学校吹奏楽部
「福島弘和 ラッキードラゴン」
指揮:中村俊哉、井田重芳…というわけで、怒涛の参考CD紹介となりましたが、最後までお読み下さりありがとうございます!
今回のシリーズでは、2016年度の全日本吹奏楽コンクール全国大会で演奏される作品の中から、CAFUAリリースCDでお聴き頂ける楽曲、そのアルバムをご紹介させて頂きました。そのため、ご紹介出来なかった団体・楽曲も多数ございましたが、きたる全国大会をより深く楽しみ、演奏団体や楽曲に親しみを感じて頂く一つのきっかけとなれましたら幸いです。
全国大会の舞台に立たれる全ての団体が、最高の演奏と体験を得ることを心よりお祈り申し上げます。ありがとうございました!