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天野正道「天雷无妄」レンタル開始!
こんにちは。
先週レンタルを開始した「グリーン・プロジェクト」に続き、浜松交響吹奏楽団の最新CD「天野正道:天雷无妄」より、タイトル作品の楽譜レンタルを開始致します!
天雷无妄
天野正道
演奏時間:約22分(全4楽章通奏時)
価格:37,000円(税抜)こちらも、浜松交響吹奏楽団創立40周年を記念しての委嘱作品となっております。
「天雷无妄」は「てんらいむぼう」と読むのですが、易経の大成六十四卦は25番目の卦によるものです。
卦辞(卦へのコメント)は…无妄。元亨利貞。其匪正有眚。不利有攸往。
むもうはおおいにとおるていによろし。それせいにあらざればわざわいあり。ゆくところあるによろしからず。うーん難しいですね。もう少し噛み砕いてみましょう。
「无妄」の「无」は無、「妄」は嘘を表します。つまり、「无妄」で嘘がない、誠で、真実であるという意味になります。
天空に雷鳴がとどろき、万物が天の摂理に従ってその生を遂げるさまが「无妄」であり、「願いは叶うが、正しい道を守り続けた場合にのみ利を得られる。正しくないことや真実のない行動は災いがあるので、進んで行動を起こしてはならない。自然の成り行きに任せ、無心・無欲であれ」ということを表しています。元いに亨る=おおいに通る。障害がなく、吉である
貞しきに利ろし=正しきによろし。モラルを遵守せよ。
往くところ=先頭に立って行くことと…
このあたりが分かると、かなり意味が分かりやすくなってきますね。作品は4つの楽章からなっています。
第1楽章、冒頭は威勢の良いファンファーレで始まりますが、後半のLargoに入ると、嵐か災いの前の静けさのような、不吉で不安な空気が流れています。
attaccaで第2楽章に入ると、拍子も3拍子に変わり、状況が動いて、荒々しく災いのさなかを突き進んでいきます。無我夢中で進んでいくけれど、ふと我に返り、不思議なほど冷静に状況を俯瞰する瞬間もあったり…
第3楽章に入ると、先ほどまでの喧騒が夢であったかのように静まりかえります。ここは、荒れ果てた廃墟? とまどい歩く私(バス―ン、クラリネット等の低音によるソロ)の周りに、フルートが風のようにまとわりついて語りかけます。足元や物陰のあちらこちらから、打楽器の気配が…
やがて辿り着いたのは、かつて栄えた巨大文明の跡。大きく、荘厳な聖域を目の当たりにして圧倒されつつも、今とむかしのことを思っては言葉に出来ない気持ちで立ち尽くしている間に、精霊のフレーズは遠くこだまして消えていきます。
第4楽章の前半は共通テーマの変容で進んでいきますが、中ほどから明らかに雰囲気の変わる瞬間があります。ここが、「使用する音階が変わることで、雰囲気・世界の色が変わる」境い目。ここまで「シの旋法」とも呼ばれるロクリア旋法をもちいて書かれていたものが、対極的な特徴をもつ「ファの旋法」、リディア旋法の世界へと変わっていきます。
けぶる視界にうす明かりが差し込み、少しずつ明るみに出るように、自由に呼吸をするように…
「天雷无妄って、なんだっけ?」
むかし聞いた大切な預言を思い出し、自然な、あるべき姿へと帰っていきます。と、今回も私の個人的解釈多めでお届けしていますので、何卒ご了承下さいね。
ロクリア旋法とリディア旋法を、対極として捉えてこれを用いるのは、易にある「陰陽」の発想を表現しているようでもありますね。
また、「天雷无妄」の卦辞には、浜松交響吹奏楽団の音楽監督・常任指揮者である浅田享氏を思わせる文字も入っています(横棒一本の差はありますが)。作曲者の天野氏は解説で多くを語っていませんが、演奏者サイドでも「あぁかな、こうかな?」と考え感じながら意味を見出していくほど、味わい深い演奏が生まれていくのではないかと思います。
CDは5月より、CAFUA webショップほか各通販サイト、楽器店、CDショップにて好評発売中です!
POST de スコアのサービスも同時スタート!
7月2日には、浜松交響吹奏楽団創立35周年記念委嘱作品「ワンダー・プラネット」もレンタルを開始する予定となっております。
こちらのブログでもご紹介していきますので、どうぞお楽しみに!楽譜事業部
高橋