-
楽譜紹介シリーズ〈2014.Autumn〉②!
こんにちは。今日がちょうど秋分の日、明日からは昼より夜の方が長くなるのですね。 道端に赤、ときどき白の、彼岸花も見られるようになりました。
楽譜紹介シリーズ〈2014.Autumn〉の2回目となる本日も、CAFUAミュージックライブラリーから3曲、チョイスしてご紹介していきたいと思います。まず1曲目はコチラ♪
スタジオジブリの人気アニメ映画「千と千尋の神隠し」が、劇場公開されたのは2001年の夏でした。「あの夏」からもう13年もたったとは、にわかに信じがたい気もします(笑)
遠藤幸夫氏のアレンジによるこの『「千と千尋の神隠し」ハイライト』は、作中に使用された楽曲の中から「あの夏へ」「底なし穴」「竜の少年」「仕事はつらいぜ」「ふたたび」「帰る日」の6曲をピックアップし、メドレー形式にした作品です。
なかの3曲はストーリーに対し順不同ではありますが、始めと終わりの3曲は映画と同じ配列になっており、「千と千尋」の世界へ、聴き手をスムーズに誘ってくれます。
しかし、映画冒頭に置かれた楽曲がいきなり「あの夏へ」というのは、少し不思議な気もしますね。ここでご紹介するために、この楽譜の演奏を収めたCDを改めて聴き直してみました。
そこで一番気になったのは、「あの夏へ」のピアノソロについたクラリネットのハーモニー。本当に、なんともいえない不思議な和声が敷かれています。 よくよく見ると(聴くと?)ここは“四度堆積和音”になっていて、通常よく見られる“三度堆積和音”とは性質が異なり、調性感からの離脱や浮遊感の効果があります。ぼんやりとして不安な感じもするかもしれません。
ピアノソロのメロディーがオーボエに引き継がれると、和音も三度系に変わり、視界が開けるように、コードによる世界観が広がっていきます。 それはあるいは、おぼろげな記憶を少しずつ思いだしていくかのようでもあります。
…こんなふうに考えてみると、この物語が、『はじめから「とある夏」の回想であった』のではないか…というような考えさえ、浮かんでくるような気もしますね(あくまで個人的な意見ですので、ご了承下さい)。
この楽譜の演奏は、こちらのCDに収録されています。
天野正道「GR」より シンフォニック・セレクション ~明日への希望
13年過ぎた今も色褪せぬ、「あの夏」の記憶がよみがえります。
1曲目から長くなってしまいました。2曲目はこちらです!
「クレイジー・フォー・ユー」は、1990年代にブロードウェイに生まれたミュージカル作品で、日本では劇団四季の公演で話題になりました。 ガーシュインが作曲したミュージカル「ガール・クレイジー」「トレジャー・ガール」をリメイクした作品で、”I Got Rhythm”などおなじみのナンバーをはじめ、古き良きアメリカのサウンドや時代の空気感を楽しんで頂ける作品です。
この作品を収録したCDはこちら。
エンディング前に長大なドラムソロを挟むなど、楽譜通りでないところもありますが、参考にして頂ければと思います。
次が本日最後の作品になります!
昨年の吹奏楽コンクール全国大会で、埼玉県の春日部共栄高等学校が演奏したことでも大きな話題となりました。 このCAFUA Now! ブログでも、3回の記事に分けてストーリーの概要を紹介しています。
2013年10月18日の記事:http://www.cafua.com/blog/?p=1027
2013年10月24日の記事:http://www.cafua.com/blog/?p=1029
2013年10月25日の記事:http://www.cafua.com/blog/?p=1030
2012年の暮れから全国の劇場で公開された、映画版「レ・ミゼラブル」をご覧になった方も多いかと思いますが、福島弘和氏編曲によるこの楽譜では、さらにオリジナルであるミュージカルの音楽からアレンジを行っています。
ミュージカルゆえ、歌のある楽曲をそのままアレンジするとPOPS的な雰囲気になりがちなところを、より器楽(吹奏楽)的に、クラシカルで格調高い雰囲気に仕上げられているところがこの福島版の特徴。 表現の深さや重さなど、吹奏楽でより表現の可能性が広がる部分を活かしています。
春日部共栄高校が、全国大会の約半年前に定期演奏会で披露した演奏がこちらのCDに収録されています。
さらに、2014年春に発売となったCAFUAセレクション2014では、海上自衛隊東京音楽隊の演奏で、ノーカット完全版の演奏をお聴き頂けます!
CAFUAセレクション2014 吹奏楽コンクール自由曲選 「PN/チェコ組曲」
オプションの“大砲の音”も入っておりますので、そのあたりにもぜひ注目してみて下さいね。
最後までお読み頂き、ありがとうございます! 来週も、演奏会におすすめのPOPS作品をご紹介していきますので、どうぞお楽しみに。