• アンサンブル紹介リレー・その14

    Date: 2012.08.23 | Category: アンサンブル紹介 | Tags:

    こんばんは。残暑厳しい日が続いておりますが、太陽の角度は次第に変わりつつあるようです。
    本日ご紹介するのは、こちらの作品です。

    ラフォルムドゥシャクアムール
    CEM-007
    La forme de Chaque Amour / 天野正道(クラリネット8重奏)
    定価4,830円(税込)

    タイトルはフランス語で、「それぞれの愛の形」という意味。読みは、「ら・ふぉるむ・どぅ・しゃく・あむーる」となります。

    『全体的にレガートで、柔らかく美しい雰囲気』…というふうに紹介されていると、
    「コンテストで演奏するには難しいかもしれない」と敬遠されてしまうこともあるようです。『ごく短い演奏時間で、聴衆の注意を引くにはインパクトが必要』と、お考えになる方もいらっしゃるでしょう。

    しかし、『インパクトが必要』だからといって、この曲を候補から外すのはちょっと待って下さい! 「ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール」には、冒頭から聴衆の心をぐーーーーーっ !!と引き付けて離さない力があります!

    8重奏という形態は、アンサンブルの中では大型の部類に入ってきます。この曲においては、使用する楽器はEsクラリネットからコントラバスクラリネットまでと幅広く、音域およびダイナミクスレンジを広く取れるのはもちろんですが…

    Esクラ、Bクラ、アルト、バス、コントラバスと5種類もの楽器を使って、それらが異なるのは音域だけでなく、音色も異なります。同じクラリネットですが、違う部分もあるのです。
    曲自体も『それぞれの愛の形』という名のとおり、さまざまな愛の形を表した多様な旋律で出来ています。『音色も楽想もヴァリエーションに富んでいる』という、リンクがここに一つありますね。

    また、8人という大人数だからこそ演出できる、『音の広がり』『響きの奥行き』というものがあります。有効に生かせば、小人数では出せない圧倒的な演奏効果になります(もちろん、少人数アンサンブルには少人数の魅力があります)。

    また、この曲は、タイトルも曲中の楽想標語も全てフランス語で書かれていますが、作曲者の天野氏は、作る曲のタイトルや標語をいつもフランス語で書いているわけではありません。意図的に、フランス語を選択したということですね。
    フランス語を学んだことのある方、フランス語の響きを思い出してみて下さい。
    フランスを旅したことはありませんか? 好きなフランス人(役者や、スポーツ選手など)はいませんか? 好きな映画や、食べ物は?
    フランス語で考えるところの、『それぞれの愛の形』をイメージすれば、曲の輪郭がさらによく見えてくるかもしれません。

    ぜひ、『この曲には力がある。聴衆を引きつけることができる』と信じて向き合ってみて下さい。きっとその力を発揮してくれるはずです。

    『ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール』は、こちらのCDに収録されています。
    164-8.jpg
    CACG-0138
    石毛里佳 ねがい
    定価 2,500円

    このCDでは、クラリネットオーケストラによる迫力ある演奏が収録されています。
    どうぞ併せてお楽しみください。

    楽譜事業部 高橋