• アンサンブル紹介リレー・その4

    Date: 2012.08.04 | Category: アンサンブル紹介 | Tags:

    本日は、柳田孝義作曲のフルート四重奏曲、「秋のエオリア」をご紹介します!

    秋のエオリア
    CEM-044
    「秋のエオリア」/ 柳田孝義(フルート4重奏)
    5,250円(税込)

    エオリアって何だろう…?と思われた方、いらっしゃいませんか?
    作曲者の柳田氏は、ここでは教会旋法のエオリアを主に意図してこの言葉を使っています。

    現在、音楽では長調と短調という2種類の音階がとても多く使われていますが、音階の種類はこの2種類だけではありません。数ある音階の中に、教会旋法(「旋法」は「モード」ともいいます)があります。

    教会旋法は、7つの音からなる全音階の上に展開されます。ピアノの白鍵を思い浮かべて下さい。ドから始まるのが長調の音階、ラから始まるのが短調の音階(自然短音階)ですね。
    では他の音から始まる音階はあるのか。あります。名前も付いていますので、ご紹介しましょう。

    レから始まる音階:ドリア旋法
    ミから:フリギア旋法
    ファから:リディア旋法
    ソから:ミクソリディア旋法
    ラから:エオリア旋法
    シから:ロクリア旋法
    ドから:イオニア旋法

    ラから始まるエオリア旋法、ドから始まるイオニア旋法は、現在の長音階、短音階のもとになったものです。
    ファから始まるリディア旋法の「リディア」という単語、見覚えありませんか?
    同じく柳田氏作曲のクラリネット4重奏、「リディアの夢」(CEM-035)のタイトルにもなっています。

    また、「ミの音階」「フリージャ旋法」とも呼ばれるフリギア旋法は、フラメンコの音楽に用いられており、何度も弾いてみるだけでだんだんフラメンコな気分になってきます。
    これは面白いのでぜひお試しを。

    長調・短調に比べると使用頻度が少なく、耳にする機会もそれほど多くない教会旋法ですが、欧州の伝統音楽や伝承曲には多く聴かれ、レスピーギの作る楽曲にもかなりの頻度で用いられています。グレゴリオ聖歌集のCDなどは、教会旋法で書かれた音楽の結晶です。

    聴いた感じでは、ふしの途中もそうですが、終止に最も強くその特徴があらわれます。
    いつも聴いているのとは何かが違う、不思議な世界…浮遊感とでもいうべき、独特の雰囲気を醸し出します。

    突然ですが(そして長くなってきましたが)、
    あなたの思う「フルートという楽器のキャラクター」は、どのようなものでしょうか?

    日本古来の横笛である「龍笛(りゅうてき)」には、天と地の間にすむ龍のイメージが重ねられてきました。天と地の間に「浮遊している」のです。

    同じ横笛のフルートにとっても、このような浮遊感を表現することは、比較的得意な分野と考えられるのではないでしょうか。なじみの少ない響きに戸惑うのではなく、宙を舞いあそぶような気持ちで、アンサンブルを楽しんでいただけたら、と思います。

    次回はCEM-045 サクソフォン四重奏曲より第1楽章 ”Footsteps” / 名田綾子(サクソフォン4重奏)をご紹介します。お楽しみに!

    楽譜事業部 高橋