• 好評発売中!「ザ・メリディアン」【後編】

    Date: 2013.04.25 | Category: NEWS! | Tags:

    昨日に続き、24日発売の厚木高校吹奏楽部のCD「ザ・メリディアン」の紹介です。
    今回も解説を執筆した中山鉄也氏の言葉を引用し、紹介致します。

    吹奏楽界では近年《リコイル》で有名な、シュワントナーの「新たなる時代への黎明より“自由への夜明け”」。キング牧師の演説・講演・書籍を引用し、言葉(ナレーション)と音楽とを融合させた作品です。管弦楽版は1982年に完成され、吹奏楽版はニック・ピラートが2007年に編曲しています。
    今回ナレーターとしてアフリカン・アメリカンのジョージ・ノエルズ氏を迎え、レコーディングでは、ナレーションを後からかぶせるのではなく、その場で演奏に合わせて収録をしました。ジョージ・ノエルズ氏も語りのトーンやスピードを常に変化させ、キング牧師の言葉を語っています。
    アメリカにおける黒人の悲惨な歴史とキング牧師の思想が、全編に渡り反映され、歴史絵巻を見るように展開していきます。
    全406小節から構成される曲の中で、氏の言葉が語られるのは僅か60小節に過ぎませんが、その存在は音楽を誘導し、言葉で表現しきれない感情や情景を描写していきます。シュワントナーの他の作品同様、透き通った響き、ミニマル音楽は健在で、さらに心に切々と伝わるコラーの美しさは特筆すべき物だと思います。

    この大作を取り組みレコーディングした事は、大変価値のある事と思います。厚木高校と中山鉄也氏だからこそ成しえた想いのこもった素晴らしい演奏です。

    オラ・イェイロはノルウェー生まれのピアニスト兼作曲家です。すでに様々なジャンルの作品を発表していますが、日本では合唱曲が有名です。この「メリディアン」は、オラ・イェイロの最初の吹奏楽作品になります。
    “Meridian”には子午線、経線という意味がありますが、“The Meridian”とすると絶頂、全盛期、繁栄という意味になり、ここから今回のCDタイトルが付けられています。
    曲は大きく分けて3つの部分で構成されています。4分の6拍子で始まるソロ・ピアノのオスティナートと複数の主題が登場する前半部、8分の6拍子でオーボエによって歌われ、合唱を伴う北欧の空気の透き通った雰囲気を醸し出す中間部、そして冒頭のピアノのオスティナートが今度は8分の7拍子になり、再現部と合唱とのコラボレショーンで最高に盛り上がるエンディングの後半部、で構成されています。

    合唱入りでCDの最後を壮大に締めくくります。作曲者のオラ・イエィロ氏もこの演奏を大変気に入ったようで、CDのブックレットにメッセージを寄せています。

    ボーナストラックとして「リバティ・ファンファーレ」を収録。これは第20回定期演奏会のライヴ演奏です。
    ジョン・ウィリアムズによって作曲されたこの作品は、“自由の女神像”誕生の100年目を祝って行われた盛大な式典で発表されました。原調での編曲で曲の明るさや雰囲気を損なうことのないアレンジです。原調での音源は貴重かもしれません。
    以前より変ロ長調の吹奏楽版がありましたが、これは2010年にボーコックが原曲と同じ二長調に編曲した版です。

    簡単ではありますが、要約し紹介させて頂きました。
    時間をかけての制作とはなりましたが、その分価値ある作品に仕上がったのではないかと思います。
    演奏と同時にブックの解説と、クリムトのアートを用いたパッケージも楽しんで頂ければ幸いです。
    是非、このCDを多くの方に聴いて頂きたいです。

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    「ザ・メリディアン」
    厚木高等学校吹奏楽部
    指揮/中山鉄也 ナレーター/ジョージ・ノエルズ
    定価2,800円(税込) CACG-0199