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レンタル楽曲紹介「協奏的タブロー~ウインドオーケストラのための~」
こんにちは。
本日は、2013年最初のレンタル新譜となる、柳田孝義作曲の「協奏的タブロー~ウインドオーケストラのための~」をご紹介します。
「協奏的タブロー~ウインドオーケストラのための~」 /柳田孝義
演奏時間:約7分
レンタル価格:29,400円(税込)「タブロー」はフランス語の”tableau”で、絵画的描写、という意味です。
音を聴けば、絵画的、あるいは映像的、視覚的といった印象を感じて頂けると思います。(たとえば、この曲にバレエのダンスが付随していたら、どんなふうだったろう…など)ではその、「絵画的」を踏まえたところで、「絵画ならばどんな絵なのだろうか?」と考えてみましょう。
全体を通して、「長調」や「短調」とは呼びにくい、無調に近い音使いをしているのが特徴で、古典やロマン、あるいは(語弊があるかもしれませんが)、いわゆる吹奏楽的な分かりやすさとは趣が異なっています。しかし、現代的な響きの中にもどこか「ノスタルジー」を感じさせるところがあります。
ティンパニ(5台使用)、木管各楽器にソロがあり、その他にもいくつかのパートが常に重なり合いながら曲が展開していきます。不安定な調性、変拍子、繰り返されるリズムパターンなどがあるなか、根底にずっと流れ続けるうねりのようなものの存在も感じられます。
これらが演奏を聴く人に与える印象は、どういったものでしょう。主観的意見ではありますが、それは「混沌」や「不安感」であるようにも思えます。
混沌一つとっても、「全てがまじりあっている状態」「まじりあっていたものが分離していく状態」逆に「分離していたものがまじりあっていく状態」など、いろいろな状態が考えられると思うのですが、この「混沌」と「不安感」は、現代を生きる人々が大いに共感できる要素ではないでしょうか。
「よくわからないけど、心を揺さぶられる」
「言葉にうまく言い表せないけれど、よくわかる」
そういう力を秘めているようにも感じられます。「絵画的音楽作品」を前にして、
そこに何が描かれているのかを見出すのは作曲者だけではなく、
演奏者であり、聴衆でもあります。周囲の人や時の流れにおし流されがちな日々のなかでひと時、足を止めて、
作品と、己と、向き合ってみるのはいかがでしょうか。柳田孝義の「協奏的タブロー~ウインドオーケストラのための~」は、こちらのCDに収録されています。柳田氏自身のタクトによる、文教大学吹奏楽部の演奏です。
「M.ラヴェル スペイン狂詩曲」
指揮:佐川聖二、柳田孝義 ほか
演奏:文教大学吹奏楽部
CACG-0173/ 定価:2,800円今回は、楽譜担当の主観多めでお届けしました。
次回のレンタル楽譜紹介も、どうぞお楽しみに。楽譜事業部
高橋