-
アンサンブル紹介リレー・その38
こんにちは。このシリーズもだいぶ間が空いてしまいましたが、そろそろ各都道府県でアンサンブルコンテストの地区大会が始まっている頃ではないでしょうか。
本日は、CAFUAの金管アンサンブルから2曲、一挙にご紹介します。
CEM-001
ジ・エヴァーグリーン・マインド / 長生淳(金管8重奏)
定価4,830円(税込)この曲に長生氏が込めたのは『生命力』。それも、どちらかといえば『しぶとさ、不屈の精神』といった、内に秘める生命力です。タイトルも、『砂漠にあっても心は緑』というような思いで付けられています。
作品が内向的な性格ということで、フレンドリーなタイプとは言わないかもしれませんが、ところどころ可愛らしいところもあるのが魅力のひとつではないでしょうか。
「砂漠の緑」を転じて、「砂漠の生き物」…砂漠の動物…?とイメージを広げてみるのも面白そうです。細かい音符、機敏に動くとみせてピタッと止まる、そういうところが少し通じている気がします。
ミュート音、ホルンのストップ音はもとより、ブレストーンにハンドクラップ、フットステップなども用いて、音に彩りを添えています。
細かくリズムが組み合わさる部分は精確な演奏が求められます。中間には美しくメロディアスな部分があり(Meno mosso)、冒頭のテンポ(Tempo primo)に戻るとフーガ的なかけ合いなど、いくつかの見せ場に分かれていますので、うまく吹き分けられると良いのではないでしょうか。終盤(Piu agitato~)はとくに、tuttiをすっきりと合わせると『さわやかで金管らしい格好よさ』を感じて頂けると思います。2曲目にご紹介するのはこちら!
CEM-021
ファンファーレとコラール / 浦壁信二(金管5重奏)
定価4,410円(税込)
ピアニスト、作曲家として活躍する浦壁氏による金管5重奏です。
こちらの楽曲は、先の「ジ・エヴァーグリーン・マインド」とはある意味対照的に、2連符系と3連符系がミックスされながら同時進行するリズムが一つの特徴となっています。曲中、”quasi cadenza”(クアジ・カデンツァ=カデンツァのように)として、5つ全てのパートにソロを聞かせる部分があります。
アンサンブルの人数がもともと5人で、その使い方としても全員が一度に重なる、絡み合う部分が少ない中で、かけ合いなどをしていくとそれが「ステレオ的に見えかつ聞こえる」という効果を生むことが出来そうです。この効果を意識的に出していくと、「音楽の視覚的立体感」が演出できて面白いのではないでしょうか。
曲のラストなど、「いきなり終わった!?」と、びっくりされるかもしれませんが、ここは逆に、更に聴衆をびっくりさせてしまいましょう! 鮮やかにいきなり終わってしまうのが良いと思います。
「分かり易過ぎる曲はちょっと飽きたかも…」という方に、おすすめの楽曲です。
(なおこちらの商品は、in C記譜の手書きのスコア5冊セットになりますのでご了承ください。)次回は打楽器のアンサンブルを2曲ご紹介します。お楽しみに!
楽譜事業部
高橋