Archive for 10月, 2020

  • 【本日発売! 野呂望ソロ楽譜】

    Date: 2020.10.29 | Category: ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    皆様こんにちは!晩秋の候、いかがお過ごしですか?
    本日は、ようやく空気も澄んで天は高く、秋らしくなってきた今の時期にぴったりの作品をご紹介致します♪

    ◆野呂望作曲『フルートとピアノのための「エチュード・ファンタジック」』

    ◆野呂望作曲『クラリネットとピアノのための「エチュード・ファンタジック」』

    もとはヴァイオリンとピアノのために書かれた作品でしたが、この度フルート版とクラリネット版を出版させて頂くことになりました。

    「1.ラヴェルの名によるパヴァーヌ」と「2.タランテラ」の2曲入りで、演奏時間は通奏で8分ほど。パヴァーヌもタランテラももとは舞曲ですが、1曲目のパヴァーヌはゆったりとした歩みを思わせる流れの中に何とも言えない透明感が漂っています。「ラヴェルの名による」とある通り、“RAVEL”の5文字にそれぞれ音を当てはめたモチーフが、基本形・反行形・逆行形と変化させながら曲中に散りばめられています。
    楽譜では“RAVEL”のモチーフの箇所にそれを示す表記があるのですが、実際演奏してみながら響きで感じ、繰り返しラヴェルの名を呼ぶようにじっくりと味わってみて頂きたいと思います。

    ゆっくりしたパヴァーヌと対比して置かれた「2.タランテラ」は急速な6/8の音楽で、作曲者が解説中で言っているように“無窮動”的ですが、ソロはところどころに休みも配置されていて“意外と優しい♡”という感じもあります。前半は短調(f moll)ですが、中間から長調(F dur)に転調し、1曲目のRAVELの旋律も回帰して明るく晴れ晴れとした、華やかなエンディングを迎えます。

    RAVELの旋律はまずピアノのパートで再現されますが、その部分、わたくしの個人的な感想ですが、聞くたびにフィギュアスケートのステップシークエンスを見ているような感じを覚えます。フィギュアのステップシークエンスも、プログラムのどこに入れるかいくつかパターンはあると思うのですが、中間から後半に入っていることが多いですね。
    前半やってきて、体力等大変な部分もあるけれど、ここぞとばかりにエネルギーを発散して踊りきる、吹ききる。その様はまるで生命がその光を燦然と放つようである。そんな印象が似ていると感じます。

    また、オリジナルがヴァイオリンソロの作品ということで、曲中にあるソロの“スタッカートの音”は、本来ピチカートで演奏されるものが多数ありました。
    今回管楽器のためのソロ楽譜となり、楽譜上に「ピチカートの様に吹いて」という指示もないのですが、奏者の方が「もしかしたらこれはピチカートだったかもしれない」と想像しながら演奏して下されば、生まれてくる音楽も一層表情豊かなものになることと思います。

    フルート版とクラリネット版、それぞれどんな内容かお聞き頂ける、デモ音源動画をCAFUAのYoutubeチャンネルにご用意しました。

    フルート版 https://youtu.be/1W1YkY7YgvI

    クラリネット版 https://youtu.be/RzwNwMdOYvo

    ノーカットフルサイズでお聞き頂けますので、ぜひ見てみて下さいね♪

  • 【明日発売! 天野正道ソロ楽譜2/2】

    Date: 2020.10.14 | Category: ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    今日の紹介文はちょっと長くなりすぎて(笑)、改めて2曲目の方ご紹介させて頂きますね!

    ◆天野正道作曲「フリュートとピアノのための小品第1番」

    なんとこれが、高校生の頃の天野少年が「初めて委嘱を受けて書いた作品」とのことで…
    「天野先生は若い頃、まだティーンの頃など、どんなふうに過ごしていたのだろうか」そんなことを知るよすがとなる作品ですね。
    解説中に、『それと知らず「移調の限られた旋法第2番」(またの名をコンビネーションディミニッシュ)の音階を使っていた』とあります。
    音階の名前は知らなくても響きは知っていたんだなと、そんなところにもフツウではないことの一端が現れていますが(汗)、この音階について少し考えてみたいと思います。

    「移調の限られた旋法」の体系を整理し、名前をつけたのは、20世紀フランスの作曲家であるオリヴィエ・メシアンです。その体系のなかで、「移調の限られた旋法」は7つの種類があり、2番めの旋法は「コンビネーションディミニッシュスケール」または「ドミナントディミニッシュスケール」とも呼ばれて、ジャズシーンなどで多用されています。

    「移調の限られた旋法第2番」の特徴は何か?
    こういうことは、沢山の人から多様な見方を集めてみるのがおもしろいと思うんですが…いくつか挙げますと、
    ・主音から上方へ、半音と全音のインターバルを繰り返し、1オクターブに8つの音を含む
    ・キーの種類は3種類
    まずこんなことが言えます。

    「キーの種類が3種類」とはどういうことかと言いますと、例えば長調なら12種類(異名同音調を除く)あるけれど、全音音階は2種類しかない。という意味合いで、この第2番の旋法は3種類が存在しているということなんですね。
    「キーの種類が12種類ない」ということが、つまり「移調が限られている」ということのようです。

    こう聞いたら、ちょっと、五線に書いてみたいじゃないですか?この音階を(笑)
    でも、実際書いてみたら、微妙にやさしくないんですよ。なんとか、書くも分かりやすく、見ても分かりやすい譜例を考えたい…としばし悩んだのち、また別の特徴に気付きました。

    ・この音階の構成音は、隣り合う二つの減七の和音(ディミニッシュコード)の構成音と同じである。

    つまり例えばこう、

    この二つの和音の構成音は重複していませんね。
    これを音階状に並べると、

    こうなります。

    音階3種のうち、1種類が書けました!
    この例はかなり分かりやすくなったと思うのですが、いかがでしょうか。

    音階の話ばかりして作品の話が出来ていないようですが、作品で使われている音階を知ることは、その作品のベースとなる雰囲気や色味を知ることにもつながると思うので、かる~い気持ちで読んでみて頂ければと思いながら書いてみました^^
    実際に音を聞いて知るという方法もありますね。ジャズ系なら、この音階を使った格好いいフレーズの音源が多数見つかりますので、興味のある方は検索してみて頂くのも良いと思います。

    この作品も楽譜の詳細ページにMIDIのデモ音源をご用意しておりますが、途中かなり速い部分があります。でも実は、音源の音が潰れてしまうのを回避するため、楽譜の指示よりも少~しだけさらに遅くしてあるんです(‘Д’)!!

    CAFUAのCDではないのでアレですが、フルーティスト・福島明佳さんの「Fluctus フラクトゥス~天野正道作品集~」(キングレコード NKCD-6864)に、この「フリュートとピアノのための小品第1番」だけでなく、「交響組曲第3番“GR”より4楽章 フルート&ピアノ版」、さらにフルートトリオの「アリエッタ」も収録されていますので、もし宜しければこちらで聞いてみて頂くのもよろしいかと思います。

    というわけで、明日10月15日発売となる天野正道作曲のフルートソロ楽譜を、2つの投稿に分けてご紹介させて頂きました!
    いつも文章が長くなってしまいましたが、最後まで読んで下さり誠にありがとうございます。
    今回ご紹介した作品でこの秋も充実させて頂き、また今後続いていくソロ楽譜のラインナップにもご期待頂ければと思います!

  • 【明日発売! 天野正道ソロ楽譜1/2】

    Date: 2020.10.14 | Category: ソロ楽譜紹介 | Response: 0

    こんにちは!いつしかすっかり涼しくなってしまいましたね。
    夏のアンサンブル新譜発売を経て、ソロ楽譜のシリーズを再開していきたいと思います!
    本日は、明日10月15日発売となる、天野正道作曲のフルートソロ2作品をご紹介していきます♪

    ◆天野正道作曲「交響組曲第3番“GR”より4楽章 フルート&ピアノ版」

    あーもう言わずと知れた”GR”の名旋律が、天野氏と特に縁深いフルートのソロ楽譜となって、
    いつでも買って演奏できるようになったわけですね^^

    ソロフルートばかりにメロディがあるのではなく、ピアノが主旋律を受け持つ部分もあり、そんな時フルートはそよ風のような装飾を奏でていたりして、そういったメロディの受け渡し、役割の入れ替わり、コンビネーションもこの楽曲を奏でる楽しみのひとつになっています。

    ところで、この作品はもともと管弦楽や吹奏楽の響きを想定して書かれた音楽があって、その全てをフルートとピアノの二人だけで奏でようというのですから、多少頑張らないといけない部分はあります^^;;
    特にピアノパートは、声部の繋がりを明らかにするための記譜になっている部分が多いですし(1本の五線に上向きと下向きの音符が同時に書かれているなど。バッハのシンフォニアのような多声音楽の楽譜を想像して下さい)、壮大な響きを再現するために、「これ腕2本、指10本で弾けるのかな?」と一瞬考えてしまいそうになっている部分も何箇所かあります。
    実は出版準備中にも、楽譜担当者の立場から「これ大丈夫でしょうか?」と天野先生に聞いてみたんです。

    そうしたら天野先生は「今まで何人も弾いてきたから大丈夫!」とおっしゃりつつも、弾き方に迷ってしまうかもしれないピアニストのために、少しヒントを追加して下さいました。
    それが、楽譜中ところどころに記された”m.d.”、”m.g.”の指示です。

    “m.d.”は”main droite(マン・ドロワト)”の略で「右手」、
    “m.g.”は”main gauche(マン・ゴーシュ)”の略で「左手」という意味になっています。
    さすがのフランス語ですね~!

    大変さも多少ありますが、それよりもオケや吹奏楽のサウンドをイメージしながら、柔軟な心持ちで、この気持ちいい〜音楽を楽しんで頂ければと思います。奏でる人も聴く人も、どうかこの作品とともに清々しい時間をお過ごし下さい!

    本当は、2曲同時発売なので2曲ご紹介したいところなのですが、どちらもかなり長い文章になってしまいましたので、次の曲紹介は改めて投稿させて頂きます!
    どうぞお楽しみに!

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