Archive for 6月, 2015
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天野正道「天雷无妄」レンタル開始!
こんにちは。
先週レンタルを開始した「グリーン・プロジェクト」に続き、浜松交響吹奏楽団の最新CD「天野正道:天雷无妄」より、タイトル作品の楽譜レンタルを開始致します!
天雷无妄
天野正道
演奏時間:約22分(全4楽章通奏時)
価格:37,000円(税抜)こちらも、浜松交響吹奏楽団創立40周年を記念しての委嘱作品となっております。
「天雷无妄」は「てんらいむぼう」と読むのですが、易経の大成六十四卦は25番目の卦によるものです。
卦辞(卦へのコメント)は…无妄。元亨利貞。其匪正有眚。不利有攸往。
むもうはおおいにとおるていによろし。それせいにあらざればわざわいあり。ゆくところあるによろしからず。うーん難しいですね。もう少し噛み砕いてみましょう。
「无妄」の「无」は無、「妄」は嘘を表します。つまり、「无妄」で嘘がない、誠で、真実であるという意味になります。
天空に雷鳴がとどろき、万物が天の摂理に従ってその生を遂げるさまが「无妄」であり、「願いは叶うが、正しい道を守り続けた場合にのみ利を得られる。正しくないことや真実のない行動は災いがあるので、進んで行動を起こしてはならない。自然の成り行きに任せ、無心・無欲であれ」ということを表しています。元いに亨る=おおいに通る。障害がなく、吉である
貞しきに利ろし=正しきによろし。モラルを遵守せよ。
往くところ=先頭に立って行くことと…
このあたりが分かると、かなり意味が分かりやすくなってきますね。作品は4つの楽章からなっています。
第1楽章、冒頭は威勢の良いファンファーレで始まりますが、後半のLargoに入ると、嵐か災いの前の静けさのような、不吉で不安な空気が流れています。
attaccaで第2楽章に入ると、拍子も3拍子に変わり、状況が動いて、荒々しく災いのさなかを突き進んでいきます。無我夢中で進んでいくけれど、ふと我に返り、不思議なほど冷静に状況を俯瞰する瞬間もあったり…
第3楽章に入ると、先ほどまでの喧騒が夢であったかのように静まりかえります。ここは、荒れ果てた廃墟? とまどい歩く私(バス―ン、クラリネット等の低音によるソロ)の周りに、フルートが風のようにまとわりついて語りかけます。足元や物陰のあちらこちらから、打楽器の気配が…
やがて辿り着いたのは、かつて栄えた巨大文明の跡。大きく、荘厳な聖域を目の当たりにして圧倒されつつも、今とむかしのことを思っては言葉に出来ない気持ちで立ち尽くしている間に、精霊のフレーズは遠くこだまして消えていきます。
第4楽章の前半は共通テーマの変容で進んでいきますが、中ほどから明らかに雰囲気の変わる瞬間があります。ここが、「使用する音階が変わることで、雰囲気・世界の色が変わる」境い目。ここまで「シの旋法」とも呼ばれるロクリア旋法をもちいて書かれていたものが、対極的な特徴をもつ「ファの旋法」、リディア旋法の世界へと変わっていきます。
けぶる視界にうす明かりが差し込み、少しずつ明るみに出るように、自由に呼吸をするように…
「天雷无妄って、なんだっけ?」
むかし聞いた大切な預言を思い出し、自然な、あるべき姿へと帰っていきます。と、今回も私の個人的解釈多めでお届けしていますので、何卒ご了承下さいね。
ロクリア旋法とリディア旋法を、対極として捉えてこれを用いるのは、易にある「陰陽」の発想を表現しているようでもありますね。
また、「天雷无妄」の卦辞には、浜松交響吹奏楽団の音楽監督・常任指揮者である浅田享氏を思わせる文字も入っています(横棒一本の差はありますが)。作曲者の天野氏は解説で多くを語っていませんが、演奏者サイドでも「あぁかな、こうかな?」と考え感じながら意味を見出していくほど、味わい深い演奏が生まれていくのではないかと思います。
CDは5月より、CAFUA webショップほか各通販サイト、楽器店、CDショップにて好評発売中です!
POST de スコアのサービスも同時スタート!
7月2日には、浜松交響吹奏楽団創立35周年記念委嘱作品「ワンダー・プラネット」もレンタルを開始する予定となっております。
こちらのブログでもご紹介していきますので、どうぞお楽しみに!楽譜事業部
高橋 -
鈴木英史「グリーン・プロジェクト」レンタル開始!
こんにちは!
5月にリリースした浜松交響吹奏楽団のCD収録作品からこちらの作品の楽譜を、本日よりレンタルスタート致します!
「グリーン・プロジェクト」
鈴木英史
演奏時間:約9分半
レンタル価格:30,000円(税抜)浜松交響吹奏楽団創立40周年記念委嘱作品となっております。
鈴木氏が浜松交響吹奏楽団のために書いた作品としては、創立30周年記念作品の「ライフ・ヴァリエーションズ~生命と愛の歌」以来、10年ぶり・2作目となる今作。
前作では「人間」をテーマとして取り上げましたが、対比して今作は「自然・地球・宇宙」がテーマとなっています。湧き上がる地響きが、大きな意思か生命体の胎動のように思える低音の響きから、人の知の及ばぬがごとき、少し不思議な旋律と響きのリフレインへ。
生命の芽の成長を思わせるような、繰り返しながら迫り来るフレーズ、
広く大きく緩やかに、時にはほとばしるように、動き続けてとどめようもない光や空気の流れ、
魚が清流の中を、きらめきながら、抜きつ抜かれつ追いかけて描き出す模様を見ているような、と自由に書き続けているととても抽象的で、つかんだと思えば次の瞬間には姿を変えている…という印象こそが、
作曲者の意図した「大きな存在と意思」を表現しようとした結果なのかなと、思ったりします。
抽象的で、精神的で、哲学的。
プレイヤーにも聴衆にも「何かを深く問いかける作品」と言えるのではないでしょうか。全てをつかめない、分からない、割り切れない、そういう存在もある。それを知った上で、ずっと抱えて、つきあって生きていく。
なんでも簡単に、分かったつもりになろう、効率よくしてしまおうという時代の風潮に、疑問を投げかけているようにも感じられます。鈴木英史「グリーン・プロジェクト」を収録した、浜松交響吹奏楽団のCD「天雷无妄」は現在好評発売中!
天野正道 : 天雷无妄
浜松交響吹奏楽団/指揮:浅田享天野正道、髙橋伸哉両氏による委嘱作品も、近日レンタル開始予定となっております!
どうぞお楽しみに♪楽譜事業部
高橋 -
松戸四中の「IV」作目が本日リリース
松戸市立第四中学校の最新作が本日発売です!
「Play with Heart IV」
松戸市立第四中学校吹奏楽部
指揮/須藤卓眞
定価 2,667円(税抜) CACG-0234【曲目】
1. コンサートマーチ「青葉の街で」 (小林武夫)
2. 蒼氓愛歌 ~三つの異なる表現で~ (清水大輔)
3. 吹奏楽のための風景詩「千年の大楠」 (内藤友樹)
4. スピリテッド・アウェイ ≪千と千尋の神隠し≫より (久石 譲、木村 弓/編曲:森田一浩)
5. Thank you and Farewell (清水大輔)
6. ウィーアー! ≪ONE PIECE≫より (田中公平/編曲:樽屋雅徳)
7. 「崖の上のポニョ」ファンタジー より (久石 譲/編曲:後藤 洋)
8. Ghibli in Swing (久石 譲/編曲:福田洋介)
9. 「アナと雪の女王」メドレー (クリスティン・アンダーソン=ロペス、ロバート・ロペス/編曲:郷間幹男)
10. ホール・ニュー・ワールド (アラン・メンケン/編曲:星出尚志)
11. チュニジアの夜 (ディジー・ガレスピー、フランク・パパレリ/編曲:ポール・マーサ)
12.フライ・ハイ (星出尚志)
13. 君をのせて ~「天空の城ラピュタ」より (作詞:宮崎 駿/作曲:久石 譲/編曲:鈴木英史)こちらも4作目となりました。
と同時に、松戸市立第四中学校が体育館からホールに場所を移してのコンサートが4回目となります。1stアルバムからこれまで、タイトル通り“Play with Heart”な演奏を聴かせてくれます。
とにかくあたたかく、ブレンド感があるのが四中サウンド。
その中にも指揮者である須藤先生に音が向かう様が目に見えるほどの集中力の高さを見せ、それにいつも圧倒されます。
中学生バンドではありますが、私の中であまり中学生とは言いたくないバンド、です。今回も吹奏楽ステージ、ポップスステージの全13曲を収録。
吹奏楽ステージでは、すべて邦人作品ながらそれぞれタイプの違う作品で表現の幅を見せてくれます。やはりコンクールで1年間向き合った課題曲と自由曲は圧巻。ポップスステージは、毎年その年ごとに曲と演出を変えています。
CDでは残念ながら演出が見えないので解説をしてしまいますが、幕開けの「ウィーアー!」ではステージ上にいたのはドラムのみ。
ステージの袖や客席からステージにメンバーが集まり、ステージ上の100%の照明とともに全員の音が鳴るという始まり方でした。楽譜をCAFUAで取り扱っていますが、ハイトーンもあり難しいのが正直なところ。
でも全く問題無く演奏している姿を見ると、やはりすごいなというのと吸収力の高さを感じます。
(もちろん指導者側はそう考えてもいられないと思いますが…)「アナ雪」メドレーの中では、本当は2人の生徒さんによる歌も披露されました。
四中では毎年歌が入り、毎年違う生徒さんが歌っています。
(一番最初のコンサートでは歌い手が急遽体調を崩され、須藤先生が歌うレアなこともありました)
著作権の都合上泣く泣くカットしましたが、楽器だけでも雰囲気の出る演奏はさすがです。「チュニジアの夜」ではダンス隊によるダンスも披露されています。こちらも毎年行われている目でも楽しめるステージを展開。
そして、ギリギリまでリハーサルを行っていますが、袖にいるこちらも覚えられないほどリハーサルで立ち位置や演出が変わります。
これ本番大丈夫なのかなと少し不安にもなりますが、そんな不安をよそに完璧にこなし、ピカピカの笑顔でポップスステージを駆け抜ける姿は、もはやお客様を楽しませるプロの姿。頭の中でそんな姿を想像しながら聴いて頂ければと思います。
text by 制作部
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5月リリースCDの紹介 4
5月リリースのアルバム紹介もこちらで終わりです。最後の作品はこちら。
「威風堂々」
神奈川大学吹奏楽部
客演指揮/保科 洋
指揮/小澤俊朗
定価 2,667円(税抜) CACG-0233【曲目】
1. 祝典前奏曲 作品61 (リヒャルト・シュトラウス)
2. バンドのためのディヴェルティメント (兼田 敏)
3. 鳳凰が舞う -印象、京都 石庭 金閣寺 (真島俊夫)
4. ゴールデン・ジュビリー (ジョン・フィリップ・スーザ/編修 : フレデリック・フェネル)
5. 古祀(1998年 改訂版) (保科 洋)
6.7. バレエ音楽「三角帽子」パート2 (マヌエル・デ・ファリャ/編曲 : 保科 洋)
8. 行進曲「威風堂々」第1番 作品39 (エドワード・エルガー)なんと言っても、サントリーホールでの第50回定期演奏会。
サウンドも今まで以上の美しさで、音楽が広がっていく心地よさが体感出来ます。1曲目はシュトラウスの「祝典前奏曲」。
オルガンソロから始まる、豪華なオープニングです。
未来を見据えた、祝典ながらも“前奏曲”というのが神大のセンス。神大にゆかりのある兼田敏氏と真島俊夫氏の曲に、スーザの自身の指揮者生活50周年を祝って作曲された「ゴールデン・ジュビリー」。
そしてこちらも神大と親交の深い保科洋氏を客演指揮に迎え、「古祀」と「三角帽子」を披露。「三角帽子」は4年前に披露したパート1に続く、パート2です。さて、定期演奏会に行かれた方は驚かれたことでしょう。
そうです。当日メインで演奏した「ローマの松」を収録しておりません。最後の「威風堂々」はアンコールで演奏された曲ですが、OBOGや学生の合唱とオルガンが入り、これまでの神大の歴史を物語るような壮大な演奏にとても大きな感動を覚えました。
そのためこの曲をどうしても入れたいと提案し、結果メイン曲が外れることに。
(パルス東京さんが7月1日リリースするDVDには、ローマの松も収録されています)また、当日演奏されていた生徒さんよりもサントリーホールに興奮していたのはOBOGの皆さん。リハーサルの合間にステージに上がり、携帯のカメラでホールを撮影している方も多く見られました。
(気持ち、ものすごく分かります)そして今回は神大のCD史上初、ジャケットの裏表紙に集合写真を入れてみました。
普段裏で支えているコーチ陣、スタッフ、司会者、そして保科氏を交えての貴重な集合写真です。「寄港地」でオリジナルアルバムが10作目となり、何か記念になることがしたい、と先生方に申し出たことがありました。
その時は、お客様にとってはいつも通りのCDだからとのご意向だったので、いつも通りリリースをさせて頂きました。
今回は、少しながら記念らしいことが出来たかなと、個人的には満足しています。
(ただ、ジャケット案の話をした時に“漢字が良い”とご提案頂いたのには、浜響吹さんとかぶる…!と頭が真っ白になりましたが)裏話ばかりになってしまいました。
とにかく間違いなく神大の歴史に残る名演となった「威風堂々」、是非聴いて頂きたいです。text by 制作部
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5月リリースCDの紹介 3
今回は、昨日同様、5月20日リリースのCDをご紹介。
「スパイラル・プラウド」
東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部
指揮/畠田貴生
定価 2,667円(税抜) CACG-0232【曲目】
—セッションレコーディング—
1. コンサートマーチ「青葉の街で」 (小林武夫)
2. 吹奏楽のための ~万葉物語~ (山口景子)
3. 喜歌劇「サーカスの女王」セレクション (エメリッヒ・カールマン/編曲:鈴木英史)
4. 月の砂波 (石毛里佳)
5. 時は満ち、風が吹く (内藤友樹)
6. マーチ「夢と勇気、憧れ、希望」 (内藤淳一)
7. バレエ音楽「白鳥の湖」第四幕より 間奏曲、情景、終曲 (ピョートル・チャイコフスキー/編曲:畠田貴生)—ライブレコーディング—
8. スパイラル・プラウド (鈴木英史)
9.ウィンドオーケストラのためのマインドスケープ (高 昌帥)
10. 序曲「謝肉祭」 (アントニン・ドヴォルザーク/編曲:鈴木英史)
11. バレエ音楽「白鳥の湖」第四幕より 間奏曲、情景、終曲 (ピョートル・チャイコフスキー/編曲:畠田貴生)「スパイラル」シリーズも何と12作目を数えました。
1作目から変わることなく、セッションレコーディングとライブレコーディングからの選曲。
いまでこそ、高校生のセッションレコーディングが行われるようになりましたが、12年前から途切れることなく続けているのが高輪台高校の凄さだと思います。全11曲を収録していますが、同じメンバーが演奏しているわけではありません。
1、7 … コンクールA編成メンバー
2、8 … 3年生
3 … B編成メンバー
4 … C編成メンバー
5 … 1年生
6、9 … 次期A編成メンバー
10 … 管楽合奏メンバー
となっています。どの編成でも、どのメンバーでもしっかり高輪サウンドが鳴るところはさすがの実力です。
高い集中力を保ちつつも、リラックスした雰囲気で収録は行われています。
畠田先生もよく“そんな演奏してたらCD聴いてる人にこの曲飛ばされちゃうよ”と生徒さんたちに言い、奮起させている姿を見ます。このCDの中で委嘱作品は3曲。
毎年お馴染みとなった石毛里佳の20人編成作品「月の砂波」、そして「スパイラル・ハーツ」に続く2回目の収録となった内藤友樹の「時は満ち、風が吹く」は24人編成の作品。
タイトル曲の「スパイラル・プラウド」は、ピアノで鈴木英史氏が参加した作品でもあります。コンクールの自由曲として演奏された「白鳥の湖」。今回もセッションとライブの2種類で収録していますが、やはり圧倒的な音楽の力を持っている演奏はライブです。セッションでは緻密に、ライブでは熱く、それぞれの良さが際立った演奏と言えます。
高輪台の今がよく知れる1枚、ぜひ全曲通してお聴き頂ければと思います。
text by 制作部
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5月リリースCDの紹介 2
紹介記事の2回目となる今回は、5月20日発売のこちら。
浜松交響吹奏楽団、7年振りの待望のアルバムリリース!
天雷无妄!
「天野正道:天雷无妄(てんらいむぼう)」
浜松交響吹奏楽団
指揮/浅田 享
定価 2,667円(税抜) CACG-0231【曲目】
1. ワンダー・プラネット (高橋伸哉)
2. グリーン・プロジェクト (鈴木英史)
3. 鳳凰が舞う -印象、京都 石庭 金閣寺 (真島俊夫)
4. ディヴェルティメント (アルフレッド・リード)
5. カーニヴァルの朝 ~『黒いオルフェ』より (ルイス・ボンファ/編曲:真島俊夫)
6. アシタカとサン ~『もののけ姫』より (久石 譲/編曲:小野寺 真)
7. 邯鄲の夢 (八木澤教司)
8.~11. 天雷无妄 (天野正道)
12. 彼方の光 (村松崇継/編曲:浅利 真)冒頭にも書きましたが、浜響吹は前作「ガイア」から7年の時を経てのアルバムとなりました。
満を持してのリリースとなった今作は、団体の想いが十分に込められた作品となっています。楽団創立35周年記念委嘱作品の高橋伸哉「ワンダー・プラネット」、そしてこちらも委嘱作品の八木澤教司「邯鄲の夢」。
40周年記念の委嘱作品として、鈴木英史「グリーン・プロジェクト」、同じく40周年記念の委嘱作品でタイトル曲の天野正道「天雷无妄」。
委嘱作品が4曲と非常に豪華なアルバムです。その他、昨年の全国大会で演奏された「鳳凰が舞う -印象、京都 石庭 金閣寺」も収録。多くの団体が取り上げていますが、浜響吹の音楽で奏でられる「鳳凰」はまた新鮮に聴こえます。
編集をしながらフィナーレには泣きそうになりました。音を通じて伝わってくる熱量がものすごいのがこの楽団です。そして、コンチェルトにも注目。
浜響吹とは長い付き合いのピアニスト・織茂学氏を迎えての「アシタカとサン」は、近年演奏会でもよく披露されるナンバーです。あたたかで穏やかな音楽の中に浮かぶ光のようなピアノの存在感が見事。リードの「ディヴェルティメント」は、通常フルートとバンドのコンチェルトですが、今回はピッコロとバンドのコンチェルトとして収録しています。
伸びやかで綺麗ながらも芯のある音色を響かせるのは、長年浜響吹でピッコロを演奏している団員。私自身浜響吹でリード作品を聴いたのは初めてだったのですが、とても浜響吹サウンドに合っているなと感じました。ソロとともにバンドのサウンドも楽しめます。もう一つのソロ作品は「カーニヴァルの朝」。こちらもソロライブを行うほどの実力の持ち主の団員がソロを披露しています。迷いがなくクリアで明瞭な音には爽快感さえ覚えるほど。
実は急遽収録が決まった楽曲ということもあり、ほぼ2回のテイク録りで終えた作品でもあります。アルバムの最後に収録した「彼方の光」は、木管とハープによる演奏。演奏会ではアンコールピースとして披露されました。
指揮者の浅田先生がこの楽曲のメロディーの美しさをとても気に入られて、アンコールながらも熱を込めて指揮をされていた姿が印象に残っています。そして、アルバムのジャケットは、「ディヴェルティメント」のピッコロソロを吹いた団員による書。たくさんの文字の候補がありましたが(ブックレットの写真ページにも一部載っています)、最終的には天野先生も交え、この書体になりました。
見た目から良い作品になるよう、最後の最後までジャケットのデザインにこだわって頂きました。
ジャケットの裏の写真は、レコーディング終了後に撮った一枚です。魅力が目一杯に詰め込まれた、まさにこの7年の集大成と言えるアルバムとなりました。
手に取って聴いて頂き、少しでも浜響吹メンバーの想いが伝わればと願っています。text by 制作部
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5月リリースCDの紹介 1
ご無沙汰しております。
すっかりCDの更新が滞っており、申し訳ございません。
少しずつ、5月発売のものを紹介していきます。
まずは5月13日発売のこちらから。土気シビックウインドオーケストラの19作目!
「交響曲第1番『ギルガメシュ』」!
交響曲第1番「ギルガメシュ」
土気シビックウインドオーケストラ
パーカッション/野本洋介
指揮/加養浩幸
定価 2,667円(税抜) CACG-0230【曲目】
1. 星条旗 (J.S.スミス/編曲:J.ウィリアムズ)
2. アラベスク (S.R.ヘイゾ)
3.~5. 「セレスティアル・トリロジー」打楽器独奏と吹奏楽のための協奏曲 (野本洋介)
6. ミュージック・メーカーズ (A.リード)
7. 吹奏楽のための交響詩「波の見える風景」 (真島俊夫)
8. モラビアの賛美歌による変奏曲 (J.バーンズ)
9.~12. 交響曲第1番「ギルガメシュ」 (B.アッペルモント)
13. ジョン・ウィリアムズ・スウィングス !(J.ウィリアムズ/編曲:J.ボコック)
14. 呪文と踊り (J.B.チャンス)アメリカの国歌をジョン・ウィリアムズがアレンジした「星条旗」。厳かな雰囲気からどんどん華やかになり、複数の声部が絡み合いながら進んでいく様はさすがジョン・ウィリアムズ。見事です。
妖艶なフルートソロから始まるヘイゾの「アラベスク」。タイトルは“アラビア風の”という意味。その名の通りアラビアンな雰囲気。メロディーの美しさや場面の切り替わり、打楽器のソロも聴きどころです。
ゲストには読売日本交響楽団打楽器奏者の野本洋介氏が登場。
「セレスティアル・トリロジー」は、2011年に野本氏と土気シビックによって初演され、レコーディングで再演となりました。
野本氏はもともと土気シビックに所属していた時期があり(過去のCDのメンバー表にもお名前があります)、息もピッタリでシビックサウンドの中での音色の操り方も分かった上で演奏されていたような印象がありました。音色の綺麗さは特筆すべき点です。「ミュージック・メーカーズ」は、Vol.11よりCDの制作を担当して下さっているシビックメンバーによるイチオシ作品で収録されました。今年はリードが亡くなって10年。至るところでリードの作品を聴く機会がありますが、短い分数ながらもリードの音楽を十分に堪能出来る「ミュージック・メーカーズ」ももっと演奏機会が増えてもいいのにな、と思う名曲です。
1985年、今から30年前の吹奏楽コンクール課題曲「波の見える風景」。現在の真島氏の作品の要素も見られ、改めて真島氏の凄さが分かる作品です。
テンポ設定だったり曲想の捉え方だったり、キャッチーな中にも中身の難しさがあり、これが課題曲だったことを考えると、当時の方々はかなり苦労をされたと想像出来ます。チェコ・モラビア地方の讃美歌をもとに作曲されたバーンズの「モラビアの賛美歌による変奏曲」。バーンズらしい明るいクリアな音楽、展開の速さに安定したサウンドのオーケストレーションは聴いていても安心感すらあります。
トロンボーンパートによるアンサンブルにも注目。2日目の最後に収録しましたが、前日の仕込みの日にも、1日目が終わった後にも、お昼休みにも、ずっと練習をされていたのが印象的でした。タイトル曲となった「ギルガメシュ」。古代メソポタミアの作品“ギルガメシュ叙事詩”がもとになった4楽章の作品です。
アッペルモントは描写音楽というよりも、一つ一つの楽器の音色の使い方が上手いという(勝手な)印象がありますが、それが十分に発揮されています。
難曲も難曲、体力も集中力も使うためとても大変でしたが、逆にこういう作品をレコーディングで挑戦しないといけない、そうです。音楽のレベルや楽団のレベルを保つために。“挑戦”こそがシビックの醍醐味。そんな緊張感ある難曲のあとに続くのは「ジョン・ウィリアムズ・スウィングス!」。
ジョン・ウィリアムズが作曲した曲の中から、スウィング作品を3曲メドレーにしたものです。陽気な酒場の様子を表した「Cantina Band」、クールでジャジーな雰囲気の「Catch me if you can」、ノリノリのドラムから始まる「Swing, Swing, Swing」。こういう曲も雰囲気を出して表現の幅を見せるのがシビック。最後は、チャンスの「呪文と踊り」。作曲されてから50年以上経っていますが、今でもコンクール等で聴かれる説明不要の名作です。全く違う音楽が展開される“呪文”部分と“踊り”部分。聴かせ方の上手さや、チャンスがティンパニ奏者ということもあり多用な打楽器を使用し、楽曲に彩りを与えています。
今作は、いつも以上にバラエティ豊かな内容の作品となりました。
特に民族色が強く、鮮やかな作品が揃った、というのでしょうか。
楽曲の持つ力の強さがシビックサウンドによって全面に出ています。45秒の試聴もCDページで出来ますので、気になった方は是非聴いてみて下さい。
text by 制作部
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