Archive for the ‘アンサンブル紹介’ Category
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アンサンブル紹介リレー・その40(最終回)
こんにちは。7月末からスタートしたこのアンサンブル紹介リレーも、40回をもって最終回を迎えることとなりました。
拙い文章ではございましたが、今までお読み下さり誠にありがとうございました。本日ご紹介するのは、3曲の木管アンサンブルです。
CEM-023
詩曲Ⅱ / 井澗昌樹(木管3重奏)
定価4,200円(税込)第32回全日本アンサンブルコンテストで、龍谷大学学友会学術文化局のアンサンブルが金賞を受賞しています。
「詩曲」は、欧文タイトルでは”Poem”となっています。作曲者の解説によれば、この作品を捉えるためのキーワードは「喪失」「喪失の悲しみ」「喪失を悲しむことの美しさ」とも考えられそうです。
3重奏に使用する楽器はオーボエ、アルトサクソフォン、クラリネット。聴くにも演奏するにも、分かり易いタイプの楽曲ではありませんが、その分「作り込むことが可能」な懐の深さがあります。
全国で金賞をとった演奏が聴けるCDがございますので、ぜひ一度チェックしてみて頂きたいと思います。収録しているCDはこちら。
CACG-0136
第32回全日本アンサンブルコンテスト(大学・職場・一般編)
定価3,500円(税込)続いてご紹介するのはこちらの作品です!
CEM-028
木管5重奏のための5つの回廊 / 柳田孝義
定価5,250円(税込)5つの楽章からなる木管5重奏曲です。
5つの楽章は、急・緩の楽章が下記の通り交互に並んでいます。1.Allegro assai
2.Larghetto
3.Allegro vivace
4.Adagio tranquillo
5.Allegro現代的な印象の楽曲ですが、“回廊=Galleries”の題名にあるように、それぞれの楽章を建物の廊下に見立て、それぞれの場所からどんな景色が見えるのか、全体の中でその楽章がどのように存在しているのか、構造や関係性を考えながら取り組んでみると一層楽しんで頂けることと思います。
楽器も楽章も、違いと調和を楽しみながら演奏して頂ければと思います。最後はこちら。
CEM-035
リディアの夢 / 柳田孝義(クラリネット4重奏)
定価5,250円(税込)この作品は、作曲者柳田氏の「楽器を始めて間もない人たちに、アンサンブルを楽しんでもらいたい」という願いのもとに生まれました。技術的に難しいことは極力避けて作られています。クラリネット3人とバスクラ1人、集まればすぐに取り組むことが出来ますので、1曲から日々の練習に、何曲か選んで演奏会にと、リラックスして取り組んで頂ければ幸いです。
「リディア」という言葉は、女性の名前に用いられたり、教会旋法にその名の音階があったり、「優しい」「甘美な」という意味を持っていたりと、いくつものイメージがあります。
ぜひこの「リディア」という題名から、自由に夢を膨らませながら演奏して頂きたいと思います。最後までお読み下さりありがとうございます。本日をもちまして、このアンサンブル紹介リレーは終了とさせていただきます。
皆様に、CAFUAのアンサンブル曲の魅力を少しでもお伝えし、より身近に感じて頂くことが出来ていれば幸いです。
今後もこの場で、CAFUAのNow!をご提供し、楽しんで頂けるようますます精進して参りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
楽譜事業部
高橋
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アンサンブル紹介リレー・その39
本日は、CAFUAの打楽器アンサンブルから2曲をご紹介します。
まずはこちらの作品!
CEM-009
ヘキサゴン / 天野正道(打楽器6重奏)
定価4,620円(税込)「ヘキサゴン」という単語を聞いたことのある方は多いと思いますが、ここではおおもとの、ギリシャ語で「六角形」を意味する数詞、また神秘主義においてある種の意味合いを持つ言葉として捉えて下さい。楽曲中のいたるところにヘキサゴン…“6”を意図するアイディアが仕込まれています。また、「神秘的という以外に、うまく言い表すのが難しい」けれどもそういった楽想を、感じて頂くことが出来ると思います。それらは「なんとなく」ではなく、「意図して」作られたものなのです。
「数」と「神秘」と「美」のつながり・関係について、考えたくなる作品ではないでしょうか。
楽譜は、慣れていない方には一見難解に思えるかもしれませんが、落ち着いて(もし可能ならば音を聴きながら)読譜すれば大丈夫です。トゥッティをはさみながらのソロ回しで、先のソロを終えた奏者が次のソロ担当者を指名するパートなどもあり、楽しんで演奏して頂ければ幸いです。天野正道の打楽器6重奏「ヘキサゴン」は、こちらのCDに収録されています。
CACG-0102
パーカッションアンサンブル邦人作品集
演奏:小川佳津子&ステラ21
定価2,800円(税込)もしすでにCDだけお持ちの方は、楽譜を見ると驚かれると思います。どのように書かれているのか、ぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。
2曲目にご紹介するのはこちら!
CEM-038
P-Spiral / 喜多形寛丈(打楽器5重奏)
定価4,830円(税込)PはパーカッションのP、ポジティブのP、そして○○のP。
Spiralは、すべての次元において最も基本的な原理。
そのような意図で書かれた曲でありタイトルとなっています。
先にご紹介した「ヘキサゴン」では、鍵盤打楽器やチャイムなどの音程のある楽器と、金(カネ)ものの楽器の活躍が印象に残りますが、こちらの「P-Spiral」では太鼓、そして木製の打楽器が比較的多く使われています。
太鼓を多く使用したのは、「基本原理」に立ち返ろうという意思のひとつの表れなのかもしれません。中間部には、ヴィブラフォンとチャイムによる美しくも浮遊感のあるハーモニーが配されています。
『「基本原理」を求めて突きつめていったら、突如、宙に投げ出されたようになって、スローモーションで美しい何かを見た…あれは…追求してきた原理、なのかな?』そんな印象は、楽譜担当の個人的な感想ですが、もし共感して頂ける方がいれば嬉しい限りです。テンポの揺れ、アクセントの位置には十分注意して下さい。
「叩きまくる」といういい方は乱暴で語弊があるかもしれませんが、いわゆる「太鼓系打楽器」の活躍を存分に楽しめる作品です。喜多形寛丈の打楽器5重奏「P-Spiral」は、こちらのCDに収録されています。
パーカッションアンサンブル邦人作品集2
演奏:小川佳津子&ステラ21
定価2,800円(税込)本日ご紹介した作品について、演奏する際に、もし可能ならば照明の演出を加えてみるのはいかがでしょうか。主観的意見ではありますが、打楽器は管楽器以上に演奏を「見て」も楽しめるものだと感じております。
最後までお読み頂きありがとうございます。次回が、この度のアンサンブル紹介リレー最終回となります。どうぞお楽しみに。
楽譜事業部
高橋
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アンサンブル紹介リレー・その38
こんにちは。このシリーズもだいぶ間が空いてしまいましたが、そろそろ各都道府県でアンサンブルコンテストの地区大会が始まっている頃ではないでしょうか。
本日は、CAFUAの金管アンサンブルから2曲、一挙にご紹介します。
CEM-001
ジ・エヴァーグリーン・マインド / 長生淳(金管8重奏)
定価4,830円(税込)この曲に長生氏が込めたのは『生命力』。それも、どちらかといえば『しぶとさ、不屈の精神』といった、内に秘める生命力です。タイトルも、『砂漠にあっても心は緑』というような思いで付けられています。
作品が内向的な性格ということで、フレンドリーなタイプとは言わないかもしれませんが、ところどころ可愛らしいところもあるのが魅力のひとつではないでしょうか。
「砂漠の緑」を転じて、「砂漠の生き物」…砂漠の動物…?とイメージを広げてみるのも面白そうです。細かい音符、機敏に動くとみせてピタッと止まる、そういうところが少し通じている気がします。
ミュート音、ホルンのストップ音はもとより、ブレストーンにハンドクラップ、フットステップなども用いて、音に彩りを添えています。
細かくリズムが組み合わさる部分は精確な演奏が求められます。中間には美しくメロディアスな部分があり(Meno mosso)、冒頭のテンポ(Tempo primo)に戻るとフーガ的なかけ合いなど、いくつかの見せ場に分かれていますので、うまく吹き分けられると良いのではないでしょうか。終盤(Piu agitato~)はとくに、tuttiをすっきりと合わせると『さわやかで金管らしい格好よさ』を感じて頂けると思います。2曲目にご紹介するのはこちら!
CEM-021
ファンファーレとコラール / 浦壁信二(金管5重奏)
定価4,410円(税込)
ピアニスト、作曲家として活躍する浦壁氏による金管5重奏です。
こちらの楽曲は、先の「ジ・エヴァーグリーン・マインド」とはある意味対照的に、2連符系と3連符系がミックスされながら同時進行するリズムが一つの特徴となっています。曲中、”quasi cadenza”(クアジ・カデンツァ=カデンツァのように)として、5つ全てのパートにソロを聞かせる部分があります。
アンサンブルの人数がもともと5人で、その使い方としても全員が一度に重なる、絡み合う部分が少ない中で、かけ合いなどをしていくとそれが「ステレオ的に見えかつ聞こえる」という効果を生むことが出来そうです。この効果を意識的に出していくと、「音楽の視覚的立体感」が演出できて面白いのではないでしょうか。
曲のラストなど、「いきなり終わった!?」と、びっくりされるかもしれませんが、ここは逆に、更に聴衆をびっくりさせてしまいましょう! 鮮やかにいきなり終わってしまうのが良いと思います。
「分かり易過ぎる曲はちょっと飽きたかも…」という方に、おすすめの楽曲です。
(なおこちらの商品は、in C記譜の手書きのスコア5冊セットになりますのでご了承ください。)次回は打楽器のアンサンブルを2曲ご紹介します。お楽しみに!
楽譜事業部
高橋
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アンサンブル紹介リレー・その37
こんにちは。本日は、CAFUAミュージックライブラリーではレアな、ホルンアンサンブルをご紹介します。
CEM-020
ホルン六重奏曲 第2番 / 田村文生
定価4,830円(税込)多くの作品に“標題”ともいえるようなタイトルが付けられているなかで、このようにシンプルな題名が付けられていることは、作曲者自身の「音楽外的な要素との関連において聴取されることを前提としていない、或いは、そのように書いていない」という意図によるものです。古典的な意味での「絶対音楽」…音楽によって音楽以外の何かを表現したり、メッセージを伝えたりするものではなく、「音楽によって音楽を語る」ということを考えています。
ホルンアンサンブルにもデュオ、トリオ、カルテットなどさまざまな形態がありますが、カルテットを真ん中、標準的な編成と考えた時、ゼクステットはやや大きめの編成という位置付けになります。
オクテット程ではありませんが、コンパクトで身軽なカルテットとは一味違った広がりや深みのある響きを楽しめます。広がり、といえば…必然的に、使用する音域も広がってきます。気になりますよね!?
このアンサンブルの最高音は…
1stのhigh f、しかもまさに最後の音符!(ハーモニクス指示により、F管開放で演奏することになっています)
最低音は、6thのlow desで、曲の冒頭にあります。強弱の指示はpianoです。
pianoではありますが、爆音であったりあまりに強い音でなければ、しっかりめに吹いた方が良いのでは、というのは楽譜担当の個人的意見です。。(ホルンを少々吹いておりました)ちなみに、2ndの最高音はhigh des、5thの最低音は(low)asとなっています。
ホルンの音は基本的に間接音を聴かせる楽器であり、それが特徴であり魅力であると同時に難しさでもあります。
人数が多くなればそれだけもこもこ、もこもこしやすくなります。皆さまよくご存知とは思いますが、意識してはっきり明瞭に発音するようにしていきましょう。
難易度はやや高めの作品ですが、皆さまのよきレパートリーとなるよう願っております。田村文生作曲の「ホルン六重奏 第2番」は、こちらのCDに収録されています。
CACG-0137
ヤマハ吹奏楽団 アンサンブル委嘱作品集
定価2,500円(税込)この紹介記事にも何度も登場している、お買い得な一枚ですね(笑)
ぜひあわせてお楽しみください。楽譜事業部
高橋
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アンサンブル紹介リレー・その36
こんにちは。本日は、ちょっと珍しい編成のアンサンブルをご紹介します。
CEM-036
光の種 / 長生淳(Flute, Oboe, Clarinet, Horn, Bassoon, Harp)
定価5,880円(税込)一般的な木管5重奏に、ハープが加わった6重奏となっています。しかし、ハープという楽器は皆さんもご存じの通りとても存在感のある楽器ですので、木5にハープを加えたというよりは、ハープが他の楽器と同等かそれ以上に重要なパートを演じていると捉えた方が良いでしょう。
詳細ページでは作曲者長生氏の言葉をそのままに掲載しておりますが、そちらにもある通り『広い宇宙の中で出会えたことの奇跡、その奇跡が人生を輝かせてくれることへの感謝』が、全曲を通じたテーマとして貫かれています。
音同士がやや離して(乖離して、音域を広く使って)書かれていますので、宇宙のような広がりと、同時に「広がりの中にただ浮いているようでも、実はもれなく影響しあい繋がっている」音と音、楽器と楽器、全て、全方位の関係性を感じることが出来ます。
『宇宙と奇跡と感謝』がこの作品のキーワードと言ってもいいかもしれません。広大で少し不思議な感じがするけれど、どこか温かさも感じられるのはそのせいではないでしょうか。
現在までにこの作品を録音収録したCDなどは発売されておりませんが、CAFUAアンサンブルフェア2012を実施中の楽器店では店頭試聴用の参考音源をご用意しております。
CAFUAアンサンブルフェア2012を実施中の楽器店リストはコチラ。
お近くの方はぜひ、足を運んでみて下さいね。
楽譜事業部 高橋
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アンサンブル紹介リレー・その35
こんにちは。この3連休は、皆様どのようにお過ごしでしたでしょうか。
本日ご紹介するのは、こちらのアンサンブル作品です。
CEM-003
春の目覚め~5本のクラリネットのための / 鈴木英史
定価4,200円(税込)タイトル「春の目覚め」には、いくつかの意図が込められています。
「春に誕生を迎えたアンサンブル」という、ストレートな意味のほかに、思春期の心のときめきや不安、希望などのイメージが重なっているのです。
期待と不安が混ざり合った心の様が、その音楽の中から浮かび上がるように聞こえてきます。ハーモニーにもメロディーにも、苦悩と開放、という流れが常に込められています。
「無調=不安」を表現するのではなく、最終的には「期待」「希望」を表現できたら、素晴らしい体験になるでしょう。作品はいくつもの感情が入り混じり、曲の作りも自由な形式で、さまざまなベクトルをもっています。“クラリネット5重奏”という編成は、人数だけでなく響きの面においてもその内容を伝えるのに適した形態と言えるでしょう。
この曲を演奏するのに必要な、そして取り組むことによって鍛えられる要素に、音程感覚(メロディー、ハーモニーともに)、ダイナミクスレンジ、曲に対する洞察などが挙げられます。
思春期のただなかにいる方にも、思春期経験者の方々にも、ふと共感できる部分があることでしょう。クラリネット5重奏「春の目覚め~5本のクラリネットのための」は、こちらのCDに収録されています。
CACG-0138
石毛里佳 ねがい
指揮 / 佐川聖二
演奏 / コンチェルトダモーレ 佐川聖二クラリネットオーケストラ
定価2,500円(税込)クラリネットオーケストラの深い響きと、魅力的なアンサンブル曲がぎっしりつまっています。ぜひあわせてお楽しみください。
楽譜事業部 高橋
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アンサンブル紹介リレー・その34
こんにちは。10月に入って、衣替えをしたり、夕方のチャイムも18時から17時に変わったり、色々な事で季節の移り変わりを感じます。今年も、あと3カ月で終わってしまうんですね。
本日ご紹介するのはこちらの作品です!
CEM-039
S.A.L.A. / 八木”Bob”成隆(打楽器7重奏)
定価4,410円(税込)7重奏というだけでも大きめの編成ということがお分かり頂けると思いますが、使用楽器をみて更に驚かれる方も多いのではないでしょうか?
種々多様な楽器を使用し、あふれる色彩感が魅力の打楽器アンサンブルです。『音楽の原点であるだろう、「歌と太鼓」をテーマに、エスニックな雰囲気をイメージした』という作曲者の言葉通り、南国のムードが漂う、解放感・躍動感を感じられる作品となっております。
使用楽器をみて、「このアンサンブルは楽器を集めるのが難しいかも…?」と思われた方。ちょっと待って下さい!
このアンサンブルで使用されている楽器は、現在では日本国内で入手できるものばかり。また、作曲者の八木氏も、『音楽をするという意味では、楽器を代用しより良いアンサンブルを目指して行けるならばそれで良い』と語っています。楽曲は3つの楽章「セイ」「行列」「Final」からなります。全体を通して開放的な雰囲気で、人声を用いているところなども特徴的です。
「開放的で楽しげな雰囲気」ではありますが、ただの気楽な音楽に終わってしまってはつまりません。魅力的な演奏にする為には、「無為な音は出さないこと」です。
「雰囲気を大事に」「余分な音はないように」と作曲者は語っており、ひとつひとつの音、どんな小さな音にも意味があり、互いに繋がり合い響き合っている、という意識をもって演奏して頂ければ幸いです。これまでご紹介してきた作品とは少し雰囲気の異なるこの作品、コンサートピースとしてもおすすめです。転換に少々時間が必要になると思いますので、MCなどでうまくつなげば演奏会もさらに楽しくなるのではないでしょうか。
八木”Bob”成隆の打楽器7重奏「S.A.L.A.」は、こちらのCDに収録されています。
CACG-0174
パーカッションアンサンブル邦人作品集2
演奏:小川加津子&ステラ21
定価2,800円(税込)是非あわせてお楽しみください。
楽譜事業部 高橋
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アンサンブル紹介リレー・その33
こんにちは。すこし間が空いてしまいましたが、まだまだご紹介したいアンサンブル曲が沢山あります!
本日ご紹介するのは、こちらの作品です。
CEM-025
スパイラル・タワー・クインテット / 鈴木英史(クラリネット5重奏)
定価4,200円(税込)CAFUAレンタルライブラリーで好評レンタル中の吹奏楽作品『マーチ「スパイラル・タワー」』のクラリネット5重奏版です。楽器編成は、4本のBbクラリネットと1本のバスクラリネットとなっています。
現在のところ、クラリネット5重奏での演奏を収録したCD等は販売しておりませんが、『マーチ「スパイラル・タワー」』および「スパイラル・タワー」(マーチ部分を含まない、吹奏楽作品)の音源CDをお持ちの方、いえ、お持ちでない方はぜひ入手して頂いて、吹奏楽版の演奏を聴き、プログラムノートをお読み頂きたいと思います。
プログラムノートには、この曲に寄せた鈴木氏の思いと、作品が生まれた経緯・背景が書かれています。演奏をお聴き頂けば、吹奏楽ではどのような響き・広がり・音色といった世界が描き出されるのかということを、お分かり頂けることと思います。鈴木氏が、『マーチ「スパイラル・タワー」』に寄せたコメントから一部を抜粋してご紹介します。
「・・・・この曲には、異なる国籍・言語・習慣を持った人同士が出会う、最初のきっかけになるように…という意図があります。後半に延々と歌い続けられるポリフォニックな旋律は、繰り返し少しずつ形を変えて現れ、次第に両者が近付いて行く、心の状態の変化が表現されています。・・・・」また、クラリネット5重奏版の「スパイラル・タワー・クインテット」には、
「音色のレガートや発音の美しさを大切に。またカンタービレは各パートが全部主旋律と考え、絡み合いでの表現を目指します。また息の使い方をたっぷりとし、全体はメゾピアノでもピアノでも「小さい」と感じられないような積極的な表現を目指すと良いでしょう。」というコメントを寄せています。作曲者が楽曲にこめた思い、吹奏楽の多彩な音色や広がりなどの表現、それと同時に、クラリネットアンサンブルにおいて最適な表現の形はどのようなものか…
それらについて常に考えながら楽曲に取り組むことで、深みと広がりとまとまりをあわせ持った演奏に近付くことが出来るでしょう。音にするだけでもとても親しみやすい作品ではありますが、ぜひ聴衆の心に沁み入るような演奏を目指して頂きたいと思います。
吹奏楽作品の『スパイラル・タワー』『マーチ「スパイラル・タワー」』は、CAFUAレンタルライブラリーにて好評レンタル中です。
また、それぞれの吹奏楽作品は、こちらのCDに収録されております。吹奏楽版『マーチ「スパイラル・タワー」』を収録
CACG-0051
『鈴木英史 スパイラル・タワー』
指揮:加養浩幸(客演)、畠田貴生、檜貝道郎
演奏:東海大学付属高輪台高校吹奏楽部
定価2,800円(税込)『スパイラル・タワー』を収録。外囿祥一郎のユーフォニアム・ソロも!
CACG-0033
『N.ヘス イーストコーストの風景』
指揮:加養浩幸
ユーフォニアム・ソロ:外囿祥一郎(トラック6~9)
演奏:土気シビックウインドオーケストラ(Vol.6)
定価2,800円(税込)すでにお持ちの方も、そうでない方も、ぜひチェックしてみて下さいね。
楽譜事業部 高橋
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アンサンブル紹介リレー・その32
こんにちは。明日は秋分の日ですね。
本日ご紹介するのは、こちらの作品です。
CEM-034
ブリージング・ダイアリ / 柳田孝義(金管5重奏)
定価5,040円(税込)“Breathing Diary”=風の日記帳、というタイトルにちなみ、一週間をイメージして7つの作品で構成されています。各作品に標題は付けられていませんが、速度等の標語で見比べますと、順に
1. Vivace
2. Adagio un poco con moto
3. Lento
4. Vivace
5. Larghetto
6. Lento ma non troppo
7. Presto-Andantino
となっており、一週間のうちに色々な日があるように、様々な表情の作品からなっています。特徴は、クロマティックな音遣い・短い音符が多いこと・エッジィなリズム…などが挙げられます。日本現代音楽協会主催の「現代の音楽展 ‘94」で初演されており(演奏は上野の森ブラス)、ハーモニーも現代を感じられる響きが多く使われています。
また、記譜上トランペットは1st・2ndともin Cで書かれています。Bb管で読み変えて演奏することも可能ですが、もしC管の楽器をお持ちであれば、C管を使用した方が作曲者のイメージした軽やかな音色により近付けるでしょう。個人的な話ではありますが、金管5重奏や木管5重奏などといった、異種楽器で構成するアンサンブルが私はとても好きです。同族楽器でつくる、均質でなじみの良い音の響きも素敵ですが、異種楽器のアンサンブルでは互いに異なる音色の、線と線で音楽の世界をつくりだしていく感じがなんともいえず楽しい感じがします。
この作品でも、響きの異なる楽器で一つの新しい響きを作っていく楽しさを、多くの方に味わって頂けたら幸いです。
楽譜事業部 高橋
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アンサンブル紹介リレー・その31
こんにちは。今日は晴れて日光が降り注いでいますが、なんとなく夏とは違う空気になったと感じられる茅ヶ崎から、お届けします。
本日ご紹介するのは、こちらの作品です。
CEM-029
巡礼歌 / 松下倫士(木管8重奏)
定価4,410円(税込)フルート、2本のBbクラリネット、バスクラリネット、ソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスからなる8重奏曲です。
今回も、タイトルと作品の背景について少しご紹介していきたいと思います。タイトル「巡礼歌」
ここでいう「巡礼」とは、四国に88ヶ所ある弘法大師ゆかりの霊場を巡拝することを指しています。「四国遍路」とも呼ばれるものです。
「(お)遍路」は、もとは仏僧の修業として行われていましたが、江戸時代ごろからは庶民にも浸透していきました。楽曲の題材となった人形浄瑠璃「傾城阿波鳴門(けいせいあわのなると)」も、江戸時代の阿波は四国の徳島、物語の舞台は大阪となっています。背景・ストーリー
物語の登場人物は、父・母・娘の3人。親夫婦は、くにで仕えた主君の名刀が何者かに盗まれてしまったために、娘をその祖母に預けて詮議のため大阪に潜伏していました。時がたったある日、夫婦の住居に巡礼の若い女が訪れます。巡礼者には托鉢・寄進を行う(「おもてなし」などともいう)慣習があり、母は巡礼の女に食物などを与えました。ところが、話をしていくうちに、巡礼の女はその幼き日に夫婦がくにに置いてきた実の娘だということを母親は悟ったのです。娘は長じて、実の両親を何とか探し出して会いたいという思いから、たった一人で旅を続けてきたのでした。
「私がお前の母だよ、」と今すぐに言えたら…しかし、大阪では盗賊として住みつき、近頃は同志達が次々に捕まっていて詮議も潮時という折に、親子と分かれば娘にも危害が及ぶかもしれない。そのような思いから、一旦は事実を告げずに金子だけ持たせて送りだしました。いや!「いま別れてはもう二度と会えないに違いない」と思った母親は、一度は送りだした娘を追って、自分も家を飛び出していくのでした。しかし娘はその後、母親ではなく父親に偶然出会い、悪漢につかまっているところを助けられたのですが、父親はその女が(実の娘とは知らぬままに)金を持っていると知って無理やり借りようとしたあげくに誤って女を殺してしまいました。そこに母親が現れ、死なせてしまった女が夫婦の実の娘だったことが明らかになる…という、悲劇になっています。
もとの話の説明が長くなってしまいましたが、娘が「両親に会いたい一心で一人で旅をしているが、一人者は宿に泊めてもらえず、野や道端に寝たり、ひとの家の軒先で寝ては叩いて追い払われたり…」というのを聞いて、母親はどんな思いだっただろうか、父の心は、娘の心は、と思いを巡らせていくと音楽の表現も変わるでしょう。
楽譜上には、要所に楽想標語が設定されているので、それが場面転換の手掛かりになります。パワーのある楽器編成、ドラマティックな音楽作品となっておりますので、ぜひそれらの力を最大限に活かして演奏して頂ければと思います。
第33回全日本アンサンブルコンテストでは、東京都立小山台高等学校吹奏楽部が演奏して、金賞を受賞しています。その演奏は、こちらのCDに収録されています。
CACG-0154
第33回全日本アンサンブルコンテスト(中学・高校編)
定価4,200円(税込)アンサンブルフェア実施店舗では試聴CDもご用意しておりますので、お近くの方は是非お立ち寄りください。
楽譜事業部 高橋
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