Archive for the ‘レンタル楽譜紹介’ Category

  • 保存版!長生 淳「トリトン」比較解説

    Date: 2022.04.04 | Category: レンタル楽譜紹介 | Response: 0

    東邦音楽大学 学園創立70周年記念として委嘱され、2010年に発表された「トリトン」。
    三楽章からなるこの大曲はその後、「トリトン・デュアリティ」「トリトン・エムファシス」と再構成され、更にこのたび新たに「トリトン・リユニオン」というタイトルの作品が生まれました。

    コンクールなどの限られた演奏時間内で、この「トリトン」の魅力を最大限に引き出し、まとめるの容易ではないはず。そうした中、ハイライト版としてのひとつの指標として「デュアリティ」「エムファシス」が誕生し、多くのバンドによって演奏されてきました。加えて今回、もうひとつのハイライト版として「リユニオン」が誕生しました。

    今回は選曲の参考に、それぞれの作品の構成や編成などの違いを解説していきます。

    まず、おおもとの【トリトン】からご説明していきましょう。

    トリトン Triton


    「トリトン」(全楽章)レンタル価格:62,150円(税込)
    ※単楽章レンタルも可

    曲名であるトリトン(Triton)は、この曲の音程の動機となる三全音(Tri tone)と、ギリシャ神話に登場する海の神「トリートーン」が掛けられています。静まったり荒波を立てたり、という海が見せる様々な表情や変化を現代の社会に見立て、それに立ち向かい、旅立っていく若者の様子が全3楽章にわたって描かれています。

    全3楽章を通奏すると約20分強の作品です。
    「トリトン」より 第1楽章 タイム:約5分
    「トリトン」より 第2楽章 タイム:約6分
    「トリトン」より 第3楽章 タイム:約7分

    全曲版を収録したCDは

    F・チェザリーニ : 交響詩「アルプスの詩」(演奏:文教大学吹奏楽部)/CAFUA CACG-0208

    第1楽章
    全楽章中で海のイメージを最も強く持ち、逆巻く波に社会の荒波を重ねています。トロンボーンとホルンによる、緊張感と威厳のある力強いファンファーレで曲が始まり、そのリズムが次々と派生しながら、各楽器へと拡大していきます。

    第2楽章
    静まった海のような趣が表現されています。海面に静かに波紋が広がるような冒頭から、イングリッシュホルン、ファゴット、ユーフォニアムがメロディーを奏で、あたたかく重厚感のあるサウンドが広がります。
    トランペットのオフステージとオンステージの掛け合いがあります。

    第3楽章
    第1、2楽章を受けて、社会の航海へ旅立つ若者に音楽の力で荒波を鎮めてほしいという願いを込めて描かれた最終楽章です。第2楽章から続く余韻から、次々と打ち立つ波のような音のうねりが続き、徐々にメロディーが浮かび上がります。そして壮大でドラマティックなクライマックスへと向かいます。

    (以上、CAFUA CACG-0208ブックレットより)

    名匠・秋山和慶指揮による全曲・全楽章のライブ映像は必聴・必見です。

    東京佼成ウインドオーケストラ
    YouTube公式チャンネル第140回定期演奏会

    トリトン・デュアリティ Triton Duality


    「トリトン・デュアリティ」レンタル価格:35,750円(税込)

    2010年に市立柏高校が演奏し快演で話題になりました。
    「トリトン」の要素から、「海が持つ静と動の二面性=デュアリティ」にフォーカスし、再構成したもの。2楽章の一部と1楽章の大部分に、若干の新しい部分を加えて「序奏とアレグロ」のようなかたちになっています。

    ・使用する打楽器は第1楽章にほぼ忠実
    ・2楽章クラリネットのソロに加え、オリジナルにはないフルート、オーボエのソロあり(追加部分)
    ・2楽章トランペットにoff stageあり

    ゆったり奏でる2楽章から1楽章冒頭に入り、波打つようなパッセージでドラマティックなエンディングを迎えます。

    タイム:約8分
    全日本吹奏楽コンクール2010 Vol.6 <高等学校編I>
    (演奏: 柏市立柏高等学校)/キングレコードKICG-3392 ほか

    トリトン・エムファシス Triton Emphasis


    「トリトン・エムファシス」レンタル価格:35,750円(税込)

    2012年、文教大学吹奏楽部の委嘱で長生淳が再構成、同年の全日本吹奏楽コンクールで≪金賞≫を受賞。
    「エムファシス(emphasis)」は「強調」という意味です。
    全3楽章からなる「トリトン」を2楽章→1楽章→3楽章に再構成し、「新たに社会という大海に出る若者たちが、その荒波に揉まれても、強く生き抜いて欲しい」というメッセージをより明確に、強調する作りになりました。

    ・こちらも2楽章にトランペットのoff stageあり
    ・使用打楽器のうちClavesとBamboo Chimeが減る(1楽章で演奏する部分がカットされているため)
    ・小節番号135から、オリジナルの1楽章と3楽章をつなぐ追加部分あり

    「デュアリティ」は1、2楽章のみで構成されていますが、この「エムファシス」は1、2、3楽章をまんべんなく取り込み、3楽章の未来へ期待する曲想、エールを送る華やかなエンディングとなります。

    タイム:約8分
    全日本吹奏楽コンクール2012 Vol.12 <大学・職場・一般編II>
    (演奏: 文教大学吹奏楽部)/キングレコードKICG-3436
    全日本吹奏楽コンクール2018 Vol.12 <大学・職場・一般編II>
    (演奏: 東海大学吹奏楽研究会)/キングレコード/KICG-3542 ほか

    トリトン・リユニオン Triton Reunion


    「トリトン・リユニオン」レンタル価格:35,750円(税込)

    そして新たに再構成版として加わったのが、2021年にミュゼ・ダール吹奏楽団の委嘱で編成されたこの「リユニオン」。

    ・打楽器人数は1名減って5人で演奏可能(使用する楽器も少なめ)
    ・2楽章のトランペットoff stageはありませんが、con sordino(ミュート使用)で回避
    ・「エムファシス」同様、1、2、3楽章をまんべんなく取り入れているが、それぞれの楽章をつなぐメロディーが新たに書き加えられており、その小節数も一番多い

    よって、聴衆には場面展開が多く感じられる作品です。
    “よせてはかえす波”という表現では優しすぎる、うねりや荒々しさ、木管と金管の掛け合い、繊細で緻密な音のゆらぎが随所に出現します。

    タイム:約8分

    ミュゼ・ダール吹奏楽団 公式チャンネル

    上記をまとめた楽器編成一覧と、曲の構成比を作成しました。
    どの作品を選んでも奏者や指揮者の技量が問われることに違いはありませんが、スコアリーディングで作曲家の頭の中を覗ける気がします。
    長生ワールドに浸ってみてはいかがでしょう。

    スタディスコア「トリトン」(全楽章)販売価格:6,160円(税込)
    スタディスコア「トリトン・デュアリティ」販売価格:3,520円(税込)
    スタディスコア「トリトン・エムファシス」販売価格:3,520円(税込)
    POST deスコア(15日間閲覧)「トリトン・リユニオン」レンタル価格:1,320円(税込)

    ■「トリトン」各バージョンの楽器編成(※画像クリックで拡大[PDF])

  • CAFUAのレンタル楽譜〈川辺真、鈴木英史作品〉

    Date: 2020.01.07 | Category: レンタル楽譜紹介 | Response: 0

    皆さまこんにちは^^
    お正月も三箇日が過ぎ、あっという間にもう4日になりましたね!
    本日は、コンサートにもコンクールにもおすすめの吹奏楽オリジナル作品を2曲ご紹介させて頂きます。

    川辺 真(かわべ しん)
    「希望岬にて」

    堂々とした冒頭のファンファーレに始まり、格好良くて、心地よい音楽で、“吹奏楽っていいな~!”と純粋に感じさせてくれる、コンサートのオープニングにおすすめの作品です。
    南に広がる海の風景とそこに暮らす人々の生活をイメージして書かれた序曲タイプの作品で、暖かな風に吹かれながら眼前に広がる青い海を眺めているような、そんな爽快感とともに胸に希望を抱かせてくれる音楽となっています。
    オープニングにおすすめと書きましたが、演奏時間は約8分半となっておりしっかりしたボリュームがあります。
    作曲の仕掛けも面白く分かりやすい作品で、「こうする(書く、演奏する)とこう(こんな音、展開に)なるのかぁ~!」などとそれぞれに観察・分析しながら演奏するとより一層楽しく取り組めることと思います。
    演奏はブレーンのYoutubeチャンネルで一部を聞けるほか、第22回響宴のCDで全体をお聞き頂くことが出来ます(演奏はいずれも松戸市立第四中学校吹奏楽部)。
    次にご紹介するのはこちら!

    鈴木英史
    『「風を織る」〜吹奏楽のためのセレナード』

    2018年の全日本吹奏楽コンクール全国大会での防府市立桑山中学校吹奏楽部の演奏が記憶に鮮やかですが(それはもう鮮やかな演奏でしたので)、もう2年前になるんですね。
    この楽曲と向き合っていると、「作品というものは、何故・何のためにあるのだろうか」という問いが繰り返し思い浮かんできます。
    物語やメッセージがあるタイプ。形式あるいはジャンルがあるタイプ。演奏技術の高さを披露したり、演奏する場や機会のために作られているタイプ。
    この作品はどうでしょうか。
    この曲の欧文タイトルは”Woven Breeze” Serenade for wind ensembleとなっていますが、よく使われる語彙ではあるものの、”for wind ensemble”という言葉の選択には演奏へのヒントが感じられます。
    解釈やイメージはそれぞれであるとしても、丁寧に、立体的に、織り上げるように演奏して頂けたらと思います。

    演奏は
    CAFUAセレクション2015「風を織る」
    および
    CAFUAセレクション天野正道選曲ゴールデンベスト
    こちらのCDに収録されています(演奏は海上自衛隊東京音楽隊による同一のものです)。

    *この記事は2020年1月4日にCAFUAレコードのFacebookページで公開されたものです。

  • CAFUAの吹奏楽譜〈芳賀傑作品〉

    Date: 2020.01.07 | Category: レンタル楽譜紹介, 吹奏楽(販売)譜紹介 | Response: 0

    皆さまこんにちは^^
    今日は2019年にお取り扱いを始めたばかりの、芳賀傑さんの作品をご紹介したいと思います。

    芳賀 傑(はが たかし)作曲
    「水面に映るグラデーションの空」(レンタル楽譜)
    第6回クードヴァン国際交響吹奏楽作曲コンクール第1位・聴衆賞受賞作品(テーマ:平和)

    「星屑パレット」(販売譜)
    17名から演奏可能な小編成版はこちら

    既にご存じの方もいらっしゃると思いますが、「星屑パレット」は「水面に映るグラデーションの空」の後半部分をスピンオフ的に独立させた作品になっています。3分半ほどの演奏時間で美しい音楽を味わうことができ、アットホームなコンサートやアンコールピースにぴったりの作品です。

    しかし、ただ後半部分を切り離したのかといえばそうではありません。最も(!)大きな違いは、“盛り上がりのピークからエンディングに入るときの和声進行”でしょう。

    その境目の2小節だけに注目してみますと、
    「星屑パレット」ではB♭7、C7から、低音にB♭の音を残しつつも全体はFの和音に進むストレートな進行です。
    対して「水面…」では、十分なモーションでFに進むと見せかけてなんとG#m7(4th,9th)!へ進みます。
    これは難しかったので作曲者の芳賀さんにお話を聞いてみました。

    「結構無理やりな進行ですが、あえていうとF dur :Ⅴ → 短2度下転調 E dur : IIIといった感じでしょうか」
    「その後E durの III – IVの和音をたゆたいますが、Sop.SaxやFl.にはAisのリディア旋法の音が乗っかっています」

    なんということでしょうか…。これが、「水面」においては「え~~!!(そう進んだの!?)」そして「あ~~!?(そのまま終わっちゃった!)」という、衝撃と、強烈な余韻を生み、一方の「星屑パレット」ではまるで「安らかに天に昇りました」というような安心感となり、そうして“聞き終わった後の印象の違い”に大きな影響をもたらしていたんですね。
    また新たな要素が芳賀さんの口から明らかになりましたので少し考えてみましょう。

    「その後E durの III – IVの和音をたゆたいますが、Sop.SaxやFl.にはAisのリディア旋法の音が乗っかっています」

    はい…
    Eのキーにおける長調とリディア旋法の構成音を見比べてみましょう!

    E長調:e fis gis a h cis dis (e)
    Eリディア:e fis gis ais h cis dis (e)

    なんと、aとaisだけが異なる構成音なんですね。
    演奏するにあたり、全体的にはE durの響きだけれども、自分のパートにだけ異質な音(ais)があるとなれば、不安に感じることもあるかもしれません。ですが逆に、「このaisがリディア音階のアイデンティティだ」と分かっていれば、かえって心強く、しっかり演奏しようという気持ちになれそうです^^

    音取りの難所をもう一つピックアップします。
    「水面」において、「星屑パレット」として独立した部分に入る直前の和音は、A♭M7(9th)だそうです。
    M7のgの音は特に取るのが難しそうですが、それが特徴的な音ですので、頑張って取りましょう!

    ピッチの他にも、音量や、タイミングのコントロールに気を使う部分が多い作品ですが、「こわごわ演奏する」のではなく「狙いすまして」、「勇気を持ち大胆にいこう」と考えれば意外と気持ちが楽になるかもしれません。
    素敵な作品ですので、ぜひ沢山の方に演奏し、聞いてみて頂ければと思っております。

    「水面に映るグラデーションの空」は「響宴XXII」のCDで(演奏:神奈川大学吹奏楽部)、「星屑パレット」は楽譜の詳細ページにあるリンクから動画でお聞き頂けます(演奏:ウインドアンサンブル愛知)。
    (文中では英語とドイツ語の音名表記が混在してしまいましたが、便宜上コードネームは英語で書かせて頂きました。何卒ご了承下さいませ。)

    *この記事は2020年1月3日にCAFUAレコードのFacebookページで公開されたものです。

  • CAFUAのレンタル楽譜〈GRシンフォニック・セレクション〉

    Date: 2020.01.07 | Category: レンタル楽譜紹介 | Response: 0

    令和二年、
    明けましておめでとうございます!
    本年もどうぞよろしくお願い致します♪
    新年最初の投稿でご紹介したい楽曲は決まっています!それはこちら!

    天野正道「GR」より シンフォニック・セレクション
    大編成版:http://www.cafua.com/products/detail549.html
    中編成版:http://www.cafua.com/products/detail550.html

    CAFUAレンタルライブラリーの最初期からお取り扱いしている楽曲で本当に長く沢山の方に愛して頂いていますが、最近はさらに人気再燃!注目を集めています。
    大編成版と中編成版の2種類があって、「GRシンフォニックセレクションやってみたい!」と思われた方はどちらを選べばいいか迷われるのではないでしょうか。

    この二つのバージョンには以下のような違いがあります。
    1.編成の大きさが違う。中編成版は中庸な、大編成版はかなり大きなフルバンドになります。
    2.難易度が違う。いずれもグレード4+となっていますが、中編成版の方がいくぶん易しく書かれています。
    3.演奏所要時間が違う。楽譜どおり通して演奏しますと、大編成版は約18分、中編成版は約12分となっています。
    4.楽曲の内容が違う。どう違うのかといえば、「タイムの分大編成版の方が内容が“多く”、中編成版の方が“少ない”」ということになります。中編成版に、大編成版にない楽想が含まれているということはほぼありません。

    4.について特徴的なのは、大編成版には“歌唱部分がある”ということです。人の声は、楽器の音とはかなり質が異なるので、聞いた印象への影響は大きいですね!
    中編成版も大編成版も、楽曲のパートごとに雰囲気やシーンのイメージが分かりやすいのですが、大編成版の方が“エピソードが多い”という感じになっていて、こころの機微が一層細かく丁寧に描かれているために、演奏するにも聴いてみるにもより“感情移入しやすい”ということが言えそうです。

    これ、言い出すとなんでもありになってしまうので、むやみに言いたくなかったんですが、一度だけ言わせて下さい…
    超絶エモいんです…!!

    中編成版の録音はこちらのCDでお聞き頂けます。
    CAFUAセレクション2008 吹奏楽コンクール自由曲選「バンドのための民話」
    (演奏:航空自衛隊西部航空音楽隊)

    大編成版の演奏はこちらのCDに収録されています。
    浜松交響吹奏楽団
    『天野正道「GR」より シンフォニック・セレクション 〜明日への希望』

    こちらは大変ありがたくも完売となり現在CAFUA webショップではお買い求め頂けないのですが、Amazon Recordsのオンデマンドサービスで再販を行っております(CD-R製品となります)。
    ご注文はこちらから→https://www.amazon.co.jp/dp/B072KMT82G

    『「GR」シンフォニック・セレクション』の他に、同じく天野正道作曲の『「GR」より 明日への希望』「おほなゐ」、遠藤幸夫による人気アレンジ『「千と千尋の神隠し」ハイライト』なども収録されている名盤です。ぜひチェックしてみて下さいね^^

    *この記事は2020年1月2日にCAFUAレコードのFacebookページで公開されたものです。

  • CAFUAのレンタル楽譜〈長生淳作品〉

    Date: 2020.01.07 | Category: レンタル楽譜紹介 | Response: 0

    皆さまこんにちは。
    令和元年も今日が最後の一日ですね。
    今日はCAFUAレンタルライブラリーの中から、長生淳さんの作品を2曲ご紹介したいと思います!1曲目はこちら。

    長生淳
    「天頂の恋」
    七夕伝説を題材に、はるか天空の悲恋に思いを馳せるロマンティックな作品となっています。はじめは2005年にサクソフォーンプレイヤーの須川展也氏の委嘱でソプラノサックスとテナーサックス、ピアノのためのトリオ作品として書かれ、2013年にヤマハ吹奏楽団の委嘱で吹奏楽版が生まれました。
    “悲恋”といっても、今まさにつらい!苦しい!という生々しさではなく、甘美で優雅な雰囲気で、天上の恋の物語はいかにか…と物思いに耽りたくなるような作品です。
    全体的に6/8拍子の部分が多く、それがまた優雅な雰囲気や“舞”のイメージを想起させますが、時には天の川に恋人たちの思いが溢れるような激しさや、“このドラマはどうなってしまうのか?”とハラハラさせられる展開もあり、コンサートでじっくり丁寧な演奏を聞かせたい、聞かせて欲しい作品となっています。
    演奏はヤマハ吹奏楽団のCD「ヤマハのオト~奏でる匠のオト~Ⅰ」でお聞き頂けます。

    続いてはこちら。

    長生淳
    「いざ咲き匂はざらめやも」
    この曲は2018年に千葉県立幕張総合高校の委嘱で作曲されましたが、先に「天頂の恋」を演奏していた同校から「次の作品では恋を成就させてほしい」というリクエストがあったそうです。「天頂の恋」はどこか時間的・距離的な感覚で隔たりがあって、それゆえにおとぎ話や昔話のような遠くて美しいもののイメージがありますが、それに比すると「いざ咲き匂はざらめやも」はより近く、鮮やかで、現実的な印象があります。
    恋(あるいは愛)をテーマとしつつも、「いつ何をもって“成就”といえるのか」を考え始めるとなかなか難しく、そこに至るまで長い道のりがあるならば、「いつか咲き匂うための努力がある」「苦難に負けず、乗り越えてやがて成熟していく」と思うと、怯みもし勇気づけられもし…“今生きている作品”という感じがあります。
    また、「咲き匂う」という言葉もイマジネーションのある言葉で、演奏のヒントになりそうですね。
    コンクールでの演奏では制限時間がありカットが必要になるかと思いますが、ノーカットで演奏すると約15分ほどの作品です。こちらもぜひ一度は通して演奏してみて頂きたい作品です。

    CAFUAレンタルライブラリーでお取り扱いしている楽譜は、全曲POST de スコアのサービスもご利用頂けます。「高額の演奏用楽譜をレンタルする前にスコアをチェックしてみたい」、そんな時はぜひPOST de スコアをご活用ください♪
    それでは皆さま良いお年を!

    *この記事は2019年12月31日にCAFUAレコードのFacebookページで公開されたものです。

  • CAFUAのレンタル楽譜〈管弦楽編曲作品〉

    Date: 2020.01.07 | Category: レンタル楽譜紹介 | Response: 0

    皆さまこんにちは!大掃除は順調ですか?
    「大晦日には掃除をしてはいけない」という話もありますので、出来るだけ今日のうちに頑張って、そして合間にこの記事を読んで一息入れて下さいね(笑)
    今日はCAFUAレンタルライブラリーの中から、オーケストラのアレンジ作品をピックアップしてご紹介致します。

    ◆R.ワーグナー作曲、近藤久敦編曲
    『歌劇「ローエングリン」より』
    2017年の全日本吹奏楽コンクール全国大会で、横浜ブラスオルケスタが演奏し、見事金賞を受賞した際の自由曲です。
    「ローエングリン」は後にワーグナーが提唱した“楽劇”ではなく、明確にオペラであると定義できる最後のワーグナー作品であり、その前奏曲や《エルザの夢》、《婚礼の合唱》などは特に有名です。
    この編曲は、第一幕冒頭、第二幕(『エルザの大聖堂への行列』というタイトルで吹奏楽でも有名)中盤、そして第二幕のフィナーレで構成されています。
    コンクールのためのアレンジなので、演奏時間は約7分とコンパクトにまとまっています。吹奏楽やクラシック音楽のファンではないお客様がいるコンサートでも、聴衆を飽きさせずに聞いてもらいやすいのではないでしょうか。また、こうまでクラシカルなスタイルの楽曲は、難解な作品や大音量の吹奏楽曲が多く演奏される中で、かえって新鮮に聞こえる効果もありそうです。

    ◆C.M.v.ウェーバー作曲、中橋愛生編曲
    『歌劇「魔弾の射手」序曲』
    原曲に忠実なアレンジで、演奏時間は約10分となっています。冒頭近くに有名なホルン四重奏がありますが、パート分け等にナチュラルホルンの雰囲気が感じられて、バルブ付きの楽器で吹いていても面白く感じられるポイントになっています。また、奥ゆかしく上品な中にもスリリングな楽曲で、フレーズの呼応やシンコペーション、素早くダイナミックな動きなど、聞かせ方に工夫できる要素が多い作品です。

    ◆F.シュミット作曲、佐藤正人編曲
    『バレエ音楽「サロメの悲劇」より』
    フローラン・シュミット(1870~1958)はフランスの作曲家で、代表作品にソプラノ、合唱、管弦楽のための「詩編第47編」、バレエ音楽「サロメの悲劇」、ピアノ五重奏曲などがありますが、吹奏楽作品では「ディオニソスの祭り」が特によく知られています。
    バレエ音楽「サロメの悲劇」の原曲は2部5曲で構成されており、この楽譜の内容は途切れなく演奏される第2部「海上の魔法(Les enchantements sur la mer)」「稲妻の踊り(Danse des éclairs)」「恐怖の踊り(Danse de l’effroi)」を中心に、吹奏楽で演奏できるよう編曲したものです。
    2011年の全日本吹奏楽コンクール全国大会で川越奏和奏友会が演奏して金賞を受賞し、その後も数々の実力ある団体で演奏されてきました。
    このたびグランドメニューとして楽譜のレンタルを開始致しましたので、ぜひ沢山の方に演奏して聞いてみて頂きたいと思います。

    CAFUAレンタルライブラリーでお取り扱いしている楽譜は、全曲閲覧スコア貸し出しサービス“POST de スコア”でもご利用頂けます。
    POST de スコアはこちらからどうぞ!

    *この記事は2019年12月30日にCAFUAレコードのFacebookページで公開されたものです。

  • YouTube公式チャンネルで「幻影」など5曲の参考演奏を公開!

    Date: 2018.11.30 | Category: NEWS!, YouTube公式チャンネル, アンサンブル紹介, レンタル楽譜紹介 | Response: 0

    CAFUAのYouTube公式チャンネルに、参考演奏を新たに5曲アップロードしました!引き続きアンサンブル曲を5曲、いずれもレンタル楽譜として出版している楽曲となります。

    CAFUAレコード YouTube公式チャンネル


    [クラリネット八重奏] トッカータとフーガ ニ短調(作曲:J.S.バッハ/編曲:品川秀世)
    ⇒吹奏楽編曲でもお馴染みバッハのオルガン曲。EbからCBsまで、幅広い音域で重厚に聴かせるクラ8にうってつけのアレンジ!ホールを壮大なサウンドで満たして下さい。


    [クラリネット八重奏] ダフニスとクロエ 第2組曲(作曲:M.ラヴェル/編曲:品川秀世)
    ⇒あの「ダフクロ」第2組曲全曲をクラ8で?技術と体力の限界に挑戦するようなアレンジですが、演奏効果は期待できそうです。腕に覚えのあるクラ吹きの方は是非!


    [フルート三重奏] 綴れ織 for Flute Trio(作曲:小長谷宗一)
    ⇒目まぐるしいスケールの動きが、まるで糸のように絡み合って織物をなしていく。たった3本のフルートから、無限に音楽世界が広がっていく様は、まるで魔法のようです。


    [金管八重奏] ブラスアンサンブルのための音楽「子供の街」(作曲:小長谷宗一)
    ⇒「幻影」が不動の人気を誇る小長谷の金管アンサンブル。無邪気さ溢れる「子供の街」は、「これぞ金8」な音の洪水。金管吹きには説明不要の魅力がクセになる一曲です。


    [金管八重奏] 幻影(作曲:小長谷宗一)
    ⇒2001.9.11のNY、あの悲劇で街は破壊され、人々は恐怖に慄き、不信と不安に苛まれました。社会が発達し歪んでいく中で、人々が抱く幻影とはどんなものなのか。社会的な問題を提起する問題作。

    CAFUAのYouTube公式チャンネルを始動後、アンサンブルとソロの作品を中心にアップしてまいりましたが、そろそろアンサンブル曲は一段落させて、いよいよ吹奏楽曲の参考演奏をアップしていく予定です。早くも吹奏楽コンクールに向けて自由曲をお探しの団体向けの曲、また春の演奏会に備えて楽しい曲をお探しの団体向けの曲などラインナップ予定です!

    また、YouTubeのアカウントをお持ちの方は、是非チャンネル登録をお願いします!今後も、引き続き参考演奏をアップしてまいりますのでよろしくお願いします!

  • 酒井格「148の瞳」楽譜レンタル開始!

    Date: 2017.11.27 | Category: レンタル楽譜紹介 | Response: 0


    こんにちは!
    本日より、酒井格作曲「148の瞳」の楽譜レンタルをスタート致します♪


    「148の瞳」

    酒井格
    演奏時間:約8分
    レンタル価格:29,000円(税別)

    *45秒の視聴音源あり

    春日部共栄高等学校吹奏楽部の委嘱で書かれ、この秋に行われた日本管楽合奏コンテストでの演奏では最優秀賞などを受賞しました。
    タイトルは作家壷井栄さんの小説「二十四の瞳」に着想を得て、現在春日部共栄高校吹奏楽部を指導する顧問の先生と部員の皆さんをイメージして付けられたものです。

    ソプラノサクソフォーンとアルトサクソフォーンのソロ・デュオを中心にして、時にはバンドがそれを温かく包み支えるサウンド、“可憐”や“素朴”といった言葉で表すことが出来る、“春”の“山”のような表情が印象的です。
    また、3拍子もしくは3拍子系の多用も、この作品の特徴といえます。
    舞台音楽もしくは描写音楽のように、とても豊かな表情を秘めた作品ですので、演奏をされる際にはそれらをじっくりと味わいつつ、聴衆と共有するように奏でて頂ければと思います。

    選曲に便利なPOST de スコアのサービスもスタート致しました♪

    POST de スコア
    酒井格「148の瞳」

    参考音源は、第23回日本管楽合奏コンテストの演奏を団体別に収めたCDがブレーン株式会社より発売されております。http://www.brain-shop.net/shop/g/gD917301/

    優しさと温かみのあるこの楽曲は春のコンサートピースにもおすすめです!

  • 小長谷宗一「幻影 Ⅳ.逃げ惑う心」(金管8重奏)レンタル開始!

    Date: 2016.07.01 | Category: NEWS!, レンタル楽譜紹介 | Response: 0


    こんにちは。
    今日から7月となり、夏の気配が色濃くなってきましたね。
    そんな夏の始まりに、こちらの作品の楽譜レンタルを開始致します!

    幻影Ⅳ
    金管8重奏曲「幻影 Ⅳ.逃げ惑う心」
    小長谷宗一
    演奏時間:約4分半
    レンタル価格:10,000円(税別)

    小長谷宗一作曲の金管8重奏「幻影」の第4楽章が、ついにレンタル開始となりました!

    現代社会のゆがみに目を向けたこの作品。第4楽章は「逃げ惑う心-Trying to Escape the Circle-」と題し、いつの世も社会の犠牲となり、不安におびえる民衆の姿を描いています。
    ミュートやストップ、足踏みにブレス(声)等も用いて、現代的な要素を多く含み、

    不安で、切迫し、追い立てられ、追いつめられる心情…そんな印象が伝わってきます。

    この第4楽章で完結、ということなので、この不安・問題の提起に救いはあるのか?気になるところですが、第4楽章の結びは不安定ながらも沈静していくと見せかけて、最後に「?」と疑問形で終わるような不思議なエンディングになっています。
    この問題の結末、落とす処は、演奏者や聴衆に委ねられているのかもしれません。

    第4楽章の演奏は、こちらのCDでお聴き頂けます。
    36thアンサンブルコンテスト大職一般
    第36回 全日本アンサンブルコンテスト <大学・職場一般 編>
    (職場一般の部 4.創価グロリア吹奏楽団)

    また、楽譜を全4楽章同時レンタルして頂く場合、おトクにご利用頂けるセット価格もご用意させて頂きました。

    幻影全4

    小長谷宗一「幻影」(全4楽章セット)

    レンタル価格:23,000円(税別)
    演奏時間:約14分(通奏時)

    アンサンブルのコンサートで、メインプログラムとしてもおすすめです。

    吹奏楽コンクールも間近に迫って参りましたが、その後にひかえた秋のアンサンブルシーズンも気になってくるところ。7月下旬には、アンサンブルの新譜を多数発売させて頂く予定です。
    こちらもどうぞ、お楽しみに!

    楽譜事業部
    高橋

  • 石毛里佳「グリッター グリッター」レンタル開始!

    Date: 2016.04.18 | Category: NEWS!, レンタル楽譜紹介 | Response: 0

    こんにちは!
    4月もはや後半となり、かなり暖かくなってきましたね。
    先週リリースいたしました、東海大学附属高輪台高等学校吹奏楽部の最新アルバム収録作品から、こちらの楽曲の楽譜レンタルをスタートいたします!

    グリッターグリッター
    「グリッター グリッター」
    石毛里佳
    演奏時間:約7分
    レンタル価格:26,000円(税別)

    高輪台高校吹奏楽部の20人編成チームのために書かれたこの作品は、「グリッター グリッター」というタイトルが表す通り、キラキラとして楽しい夢にあふれたファンタジックな世界観が持ち味です。
    聴いた時の「コミカルさ」と演奏するときの「トリッキーさ」は表裏一体といえます。フレーズの句切れやシンコペーションで移動するアクセントの位置、パート同士の掛け合いによる音響効果が聴衆にまで伝わるように、意識して演奏できると良いでしょう。
    各パートに小さなソロが配され、やりがいも充分! ひとりひとりが音を磨いて、魅力的なフレーズに仕上げましょう。

    なお、CDへの収録時には、団体の都合により楽譜通りに演奏していない箇所もございますので、ご了承下さいますようお願い致します。

    選曲のための便利ツール“POST de スコア”のサービスも本日よりスタートいたします!

    ポスコ画像
    POST de スコア
    石毛里佳「グリッター グリッター」

    こちらのCDも好評発売中です!

    0247
    「スパイラル・フェイヴァリッツ」
    東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部
    定価 2,667円(税別) CACG-0247

    CAFUA webショップでレンタル楽譜とCDを同時に注文した頂くと、CDを3割引きでお買い求めいただけます。組み合わせは自由、POST de スコアとCDの組み合わせでもOKです!
    参考音源の入手に、今後のレパートリー探し、前から気になっていたタイトルや新譜の購入など、お役立て頂けましたら幸いです♪

    本日も、最後までお読み頂きありがとうございました!

    楽譜事業部
    高橋

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